夫婦愛を育む 4
期待値を捨てる

ナビゲーター:橘 幸世

 私の母は生前、リンゴやナシを毎年大箱で送ってくれていました。その都度「おいしかったよ、ありがとう」とお礼の電話をしますが、同様に送っていた兄の家族からは、届いたという電話すら一度も来たことがないと、随分後になって聞きました。
 それでも、当人たちに文句の一つも言わず送り続けた母は偉い人だな、と思いました。
 兄嫁の名誉のために言っておけば、兄嫁はとてもしっかりした良い人です。

 私からすればお礼の電話は基本中の基本、常識中の常識ですが、義姉の家ではそういう習慣はないそうです。
 それぞれが育った環境で身に付いた“かくあるべき”という「感覚」「常識」で相手の反応を期待すると、それに沿わないことは珍しくありません。
 リンゴを送りたいから送る、相手がどう受け取るかは相手任せ、喜んでくれれば幸い、というスタンスを取れば、人間関係は幾分楽になると思います。

 文鮮明先生の言葉に「愛は与えて忘れなさい」というものがあります。私のような凡人には「忘れる」のはなかなか難題ですが、「受け取り方は相手任せ」くらいのところからなら取り組みやすそうです。
 そして、相手や環境に関わらず、変わらない姿勢をもって生きる者となりたいな、と感じるきょうこの頃です。