青少年事情と教育を考える 113
子供の心の健康 ポイントは生活リズム

ナビゲーター:中田 孝誠

 新型コロナウイルスは多くの分野に影響を与えていますが、親にとっては子供たちのストレス、心の健康も心配です。

 国立成育医療研究センターが、子供と家族が抱えるストレスの対処法をまとめています。
 この中では子供の成長期に合わせてケアの方法を紹介していますが、例えば幼児期(1歳3カ月ごろ~就学前)は「いつも通りを維持する(寝る前の読み聞かせや背中トントン、起きる時間・寝る時間・食事の時間など)」や「安心できるような言葉やしぐさで接する(“すごいね”など)」が大切だと述べられています。

 学童期(6歳~12歳ごろ)も「いつも通りを維持する(定期的に運動やストレッチをする。できる範囲で自宅学習を続けるなど)」「正しい情報を伝える」ことがケアのコツです。
 思春期・青年期(12歳ごろ~)は、「自律・自立を支える」「自分と他人を知り、認めることを支える」「子供のストレス対処のレパートリーを増やす(読書や音楽などのリラックス法を一緒に探す。信頼できる人とのつながりを維持する)がポイントになっています。

 また、子供のレジリエンス(精神的回復力)について研究している静岡大学の小林朋子教授は、子供たちの心の健康を回復する力として、次のようなことが大切だと述べています。

① つながりを大事にする(家族といろいろ話す。友達とはLINEやメールを活用して話す)

② 規則正しい生活(早寝早起き、3食きちんと食べるなど)

③ ゲームやスマートフォンの時間を決めて、守る

④ リラックスできることをやる(呼吸法など)

⑤ 学校に行った時に何をしたいかを考える(友達と思い切りおしゃべりしたいなど)

⑥ 家で何かにチャレンジする(勉強の復習、料理、動画作りなど)

⑦ 人を助けることをやる(家の手伝いなど)

です。(小林朋子研究室「レジりん通信」より)

 こうしてみると、「規則正しい生活」と「親しい人とのつながり」が子供の心の健康にとってポイントになりそうです。

 規則正しい生活(生活リズム)には、食事(3食きちんと食べているか、間食や偏食はどうかなど)、睡眠、遊び(ゲームと外遊びのバランスなど)、親の状況(親の健康、子育て不安など)をはじめ、家庭内のことが関係してきます。

 今のような非常時に限らず、どのような時も親・家族を支えていくことが子供の心の健康を守るために何より重要だと言えるでしょう。