青少年事情と教育を考える 112
STEAM教育」、文理の枠を超えた人材育成

ナビゲーター:中田 孝誠

 教育でどのような人材を育てるかは、国にとって最も重要な課題の一つです。

 近年、教育界では「STEAM教育」という考え方が注目されています。
 この4月から実施されている小学校の新しい学習指導要領で必修となったプログラミング教育にも関係があります(今年度は小学校が実施。来年度に中学校、2022年度に高校で実施予定)。

 「STEAM教育」というのは、「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Mathematics(数学)」、それに「Arts(アート)」の頭文字を取った言葉です。

 もともとは「STEM教育」と呼ばれ、科学や数学の基礎や技術を総合的に学び、社会問題の解決や技術革新に貢献できる人材を育てるというのが大きな目的でした。

 近年はこれにアート(リベラルアーツ)を加えて、美術や音楽、文学、歴史なども取り入れて、創造性も備えた教育を目指しています。

 つまり、一つの教科、一つの分野だけでなく、文系と理系の枠を超えた総合的な力を育てる試みだといえます。

 文部科学省の中央教育審議会は、「各教科での学習を実社会での課題解決に生かしていくための教科横断的な教育」であるSTEAM教育を推進して、幅広い分野で新しい価値を提供できる人材を養成したいと述べています。

 新学習指導要領で必修となった小学校のプログラミング教育も、目的はプログラミングの技術者を育てるというより、思考力や表現力を育むことにあります。

 今後は人間がやっている仕事の約半数をAI(人工知能)が担うようになるといわれています。ですから、今の子供たちはAIには真似できない発想力や創造力、問題解決力を身に付けていく必要があります。その意味からも、こうした教育に力を入れようとしているわけです。

 もちろん、基礎的な学力がなければ、主体的に考え、問題を見つけ出すこともできません。教育現場はそうした根本的な課題も踏まえ、試行錯誤を続けていくことになりそうです。