青少年事情と教育を考える 107
一斉休校と放課後児童クラブ

ナビゲーター:中田 孝誠

 学校の一斉休校が徐々に解除されそうです。ただ、再開するとしても、感染を防ぎつつ学年末の未履修内容をどうするかなど、課題は残っています。

 ところで今回の一斉休校では、保育所は対象になりませんでした。また放課後児童クラブ(学童保育)に対しても政府は開所を要請しました。特に低学年の子供の居場所を確保するためです。

 放課後児童クラブは、主に共働き家庭など保護者が自宅を留守にしている家庭の子供を対象に、小学校の空き教室や児童館などを利用して開設しています。

 要請を受けて、放課後児童クラブを設置している全国1532自治体のうち、1108カ所が一斉休校に合わせて午前中から子供たちを受け入れました。

 低学年は学校で、高学年はクラブで預かった自治体や、クラブが始まるまでの時間を学校施設で預かった自治体などもあります。小学校の教職員などの応援を受け入れた自治体も893カ所に上りました。

 緊急事態でしたが、関係するかたがたの尽力で多くの子供たちの居場所が確保されたわけです。

 ただ、放課後児童クラブ自体もさまざまな課題を抱えながら運営されています。
 保育園で待機児童や保育士不足などが問題になっていますが、放課後児童クラブにも同じような課題があります。

 昨年5月1日時点で全国の放課後児童クラブは2万5881カ所、登録している児童は129万9307人で、いずれも過去最多でした。

 一方、クラブを利用できなかった待機児童も1万8261人で、こちらも過去最多を更新しています。支援員は9万8905人で、このうち資格研修を受けているのは7割に当たる7万479人です(数字は厚生労働省のまとめ)。

 共働き家庭が増える中、受け皿は増えてはいるものの(国は今後3年間で新たに30万人の受け入れを整備する計画です)、希望者の増加に追いつけない状況です。専門性を持った人材もさらに必要になるでしょう。

 保育園と同じように、受け皿を拡大しても根本的な課題が解決するかは分かりません。今回の問題を契機に、働き方をはじめ従来の仕組みに変化を迫る事態になっています。

 子育てや教育に関しても、共働きだから保育園や放課後児童クラブに頼るというだけでなく、家庭が子育ての責任を果たすため備えるべきこと(例えば三世代の近居などが考えられます)、そして保育園や放課後児童クラブなど施設との関係を改めて考える機会にすべきではないでしょうか。