愛の知恵袋 107
妻を幸せにする夫の言葉

(APTF『真の家庭』228号[2017年10月]より)

松本 雄司(家庭問題トータルカウンセラー)

一瞬、離婚を考えてしまった夫のひと言

 ある30代の既婚女性から相談を受けました。夫が何気なく発する言葉に傷つくことが多かったが、今回は本気で離婚のことまで考えてしまったということでした。

 「それは困りましたね。ご主人との関係はどんな状況ですか?」

 「最初は私も働いていました。出産を機に退職して子育てに専念するようにしたんですが、子供ができたのに、夫婦の関係がどんどん悪くなってきたんです」

 「そうですか。出産すると女性の関心が子供に集中してしまって、夫のことを無視したり、育児のイライラから夫婦の関係が悪化するということはよくありますが…」

 「その点では、私も思い当たることがあります。悪かったなと思うこともあります。でも、最近は夫の無神経な言葉に傷つくことが多すぎて、『許せない』っていう思いを抑えられません。私も心の中では、『夫はちゃんと働いて稼いでくれているんだから感謝しなければ…』と思っているんですが、今度ばかりは、本当に頭にきて、離婚まで考えてしまいました!」

 「どんなことを言われたんですか?」

 「『いったい誰のおかげで食べているんだ!』『俺の言うことが気に入らないなら、出て行けばいい!』と言われたんですよ。もう、本当に頭にきました!」

 それからしばらくの間、奥さんの憤懣(ふんまん)やるかたない思いを聞いたあと、心の落ち着いたところで、今後のことを話し合いました。結局、子供達のためにも離婚は思いとどまって、“夫婦仲改善のプログラム”に取り組もうということになりました。

妻の心を傷つける夫の言葉

 男性は言語能力では到底女性には及ばず、日ごろ不満を腹にため込んでしまう分だけ、口を開いた時には極端な言葉を発してしまうことが多いようです。

 以下は、多くの妻達から聞いた、夫の心無い言葉の実例です。

 「主婦なんて、どうせ、毎日暇だろう?」

 「子供のしつけぐらいできないの」

 「専業主婦なのに、この程度の料理しか作れないの?」

 「アタマ悪いねえ、あんた、何やっても駄目だね」

 「俺がもらってやらなかったら、誰も嫁の貰い手なんかいないよ」

 「あんたより、親のほうが大事」

 「体形、崩れっぱなしだね。体重計がかわいそう」

 「女らしさのかけらもないね」

 「昔はもっと可愛かったのに…、詐欺だよ、これは」

 「あんたには、何の魅力も感じないよ」

 「僕は、女と結婚したかった……」

 「ああ、私は一人になりたいよ」

 こんなことを言われたら、誰だって子供を連れて出て行きたくなるのは当然ですね。夫の言いたい気持ちはわかりますが、こんな言い方では、逆効果になるだけです。

妻が嬉しかった夫の言葉

 一方、これらとは対照的に、夫から言われてとても嬉しかった…という言葉もあります。以下は、今まで私が多くの既婚女性から聞いた話から拾ってみました。

 「家族っていいなあ…、君と結婚して良かった」

 「いつも、おいしい食事を作ってくれてありがとう」

 「子供たちを生んでくれてありがとう」

 「ママは、可愛い所あるよね」

 「ママって、すごいね。頭いいねえ!」

 「僕が仕事に専念できるのも、君のおかげだ」

 「君は、僕の困った時の最高の相談相手だよ」

 「いつも、支えてくれてありがとう」

 「僕は幸せだ」

 「君は、自慢の奥さんだよ」

 「あんまり無理しないでね。疲れた時は、休んでもいいんだから」

 「私は、君の親も私の親だと思っているからね」

 「ママは、寝顔が可愛いね」

 「ママがいないと寂しいよ」

 「君なしじゃ、生きていけないよ」

 「あの世に行っても、仲良くしようね」

 いかがでしょう。ご主人さん。一度言ってみませんか? 効果は、おかずが一品増えるぐらいじゃないようですよ。びっくりするようなことが起きるかもしれません。

 たったひと言の言葉で、「その時から、夫が好きになった」と言う女性もいます。