シリーズ・「宗教」を読み解く 94
京都キリシタン巡礼⑤

仏教とキリスト教が祈りで一つに

ナビゲーター:石丸 志信

 元和キリシタン殉教の地での祈祷会では、三宗教の代表の祈りに続き、聖歌を賛美した。その歌声に合わせて、フェリクス枢機卿、天台宗の東和空住職、野崎教区長(世界平和統一家庭連合)が手を取り、固く握り締めて黙祷した。

 立ったまま賛美歌を4番まで歌い終わるまで、三人とも握った手をほどこうとはしなかった。仏教とキリスト教の代表が、祈りの内に一つとなることによって、400年の恨みが解けていくような光景だった。

▲手を重ねて黙祷するフェリクス枢機卿、東和空住職、野崎教区長

 この日、雨は降らず、祈祷会を終えるころには、400年前のあの日と同じ、夕暮れ時を迎えた。

 カリブの小さな島国・ドミニカ国からはるばる2日間かけて来日した枢機卿にとって、この祈祷会はとても印象深いものとなった。
 毎月この場で殉教者のために祈る教会員がいることに感動を覚えていた。
 「今日のこの出来事は、記事にして必ずカリブ地域の人々に知らせたい」とも語った。

▲左端は筆者の石丸志信氏

 東住職は、「仏教を代表して、私一人でも共に祈らなければという思いに駆られて来た。手を取り祈ることで、殉教者の魂が解放され、一層の輝きを増したことだろう」と感想を伝えてくれた。

 集った者一同が晴れやかな気持ちで祈りを終え、天に感謝することができた。

▲元和キリシタン殉教の地での祈祷会に集った京都・北山家庭教会の会員の皆さん