夫婦愛を育む 91
話が通じない

ナビゲーター:橘 幸世

 皆さんは、「この人には話が通じない」と感じたことがありますか?

 同じ日本語を話しているのに、「分かってもらえない」「かみ合わない」「何を言っているのか分からない」「いつの間にか別の話になっている」など、言葉のキャッチボールができず途方に暮れる…。

 私もそれなりの歳月を生きてきて、人種・宗教・文化・社会的立場の異なる人々も含めて、かなりいろいろな人に会ってきたと思っていましたが、今なお新種(失礼!)に遭遇します。初めてその人を見た時、ほぼ同世代ながら思考回路というか中身がまるで別世界の存在のように感じました。

 話が通じなければ、イライラしたり疲れたりしてコミュケーションを諦めることが多いですが、それができる相手ならさして問題ではありません。
 相手が家族や職場の人だった場合、言葉を交わさざるを得ないので、結構なストレスになり仕事や生活に支障が出るでしょう。

 新社会人が職場でそんな上司に遭遇したら、途方に暮れるかもしれません。良い人だと思って結婚した相手が、いざ生活を始めてみると、全く話がかみ合わないとなったら、「早まった」と後悔するかもしれません。

 話が通じない人の多くは、「自分が正しい」という思い込みが強いように思います。それで、他の人の考えに耳を傾けることに欠けるのでしょう。実力がありそれなりの結果を出してきているので、自分のやり方がベストと思い、新しい視点や方法に目が向かないのかもしれません。

 正しいと思っているので、一方的に(時に自分のことばかり)話しがちです。また、「自分もやってきたのだからお前もできるはず」と経験と年齢の差を超えて、同レベルを要求してくることもあります。
 親子間でこれがあると、「親は頭がガチガチで、何を言ってもダメ。分かってくれない」と、子供は親に自分の思いを話さなくなる場合もあるでしょう。

 そんな相手と、どうしたら上手にやっていけるのでしょうか。
 ここでも、幸福の原則に則って考えてみたいと思います。

 まず、相手が変わることを期待するのはやめましょう。ストレスが増すばかりで良い結果は望めません。変わる変わらないは、あくまで当人が決めることです。かといって「どうせあの人は変わらない」と否定的に決めつけてもいけません(人間、いくつになっても変われるのです)。

 そしてやはり、良い点を見ることです。相手が頑張ってきた事や実績・実力は認めましょう。気持ちがついていかなければ、無理に言葉で表現しなくてもかまいません。
 「通じない、分かってくれない」と思うと、苦手意識が生まれ、それは相手に伝わります。お互い、相手の言動を実際以上に否定的に解釈してしまうことになりかねません。

 まずは実務的に、用件を伝えることで良しとしましょう。相手にゆとりがある時にトライするのが望ましいです。

 負の感情につぶされないよう、気分転換も大切です。ちゃんと自分の感情のケアをしましょう。

 上手にやり取りできる人に間に入ってもらうこともいいでしょう。事がスムーズに回るようになれば、お互いの間にある隔たり(相手は感じていないかもしれません)が狭まっていき、少し風穴が開くかもしれません。

 神様に尋ねながらやっていきましょう。