青少年事情と教育を考える 89
「家族の日」「家族の週間」の価値

ナビゲーター:中田 孝誠

 1117日は「家族の日」、そして10日から23日は「家族の週間」です。
 政府は、子供と子育てを応援する社会の実現のために、11月の第3日曜日を「家族の日」、その前後1週間を「家族の週間」と定めています。

 もともとは新しい少子化対策として、平成19年度に始まりました。
 「この期間を中心として、生命を次代に伝え育んでいくことや、子育てを支える家族と地域の大切さが国民一人ひとりに再認識される」よう、地方公共団体や関係団体が協力して家族や地域の大切さを呼びかけるフォーラムや作品コンクール(写真や手紙・メール)などさまざまな行事や啓発活動が行われています。

 ただ、「家族の日」や「家族の週間」が制定されていること自体を知らない国民も多いのではないでしょうか。「家族は大切」と国が言うと反発する声が一部に上がることもあって、メディアでもこうした行事が大きく報道されることはありません。

 一方、今年は「児童の権利条約」が国連で採択されて30年、日本が批准して25年になります。もともとは発展途上国で生命の危険にさらされた子供たちの養育環境を改善するところに大きな目的がありましたが、特に昨年から今年にかけて国内で起きた児童虐待事件により、専門家も条約の趣旨である「子供の最善の利益を守る」という点を引用して、問題の解決を訴えています。

 条約は、子供ができるだけ家庭で父母に愛されて育てられる権利があるとうたっています。国際的にも子供たちが育つ家庭、家族を保護し支えることは、最も大切なことなのです。
 日本の児童福祉法も、子供は家庭で養育されることを原則としています。ただ、児童の権利条約に込められたこうした内容も、知る人は多くないようです。

 子供たちがより良い環境で育つことができるよう、国や自治体が家族の大切さを伝えることは当然だといえます。
 家族の問題が大きくなる今こそ、「家族の日」と「家族の週間」を、家族の価値を深く考える機会にすべきではないかと思います。