青少年事情と教育を考える 83
日本語指導必要な子供たちの増加

ナビゲーター:中田 孝誠

 今の学校現場の大きな課題の一つが、日本語指導が必要な外国人の児童・生徒が増えていることです。

 文部科学省の調査によると、平成30年度に全国の公立小中高校に通う日本語指導が必要な児童生徒は5759人で、前回(平成28年度)より6812人(15.5%)増えました。10年前(平成20年度)の33470人から17000人余りの増加です。

 今回の児童・生徒のうち、外国籍の児童・生徒は4485人、日本国籍の児童・生徒は1274人です。

 このうち、実際に日本語指導や教科の補習など特別の指導を受けている児童・生徒は39751人で、全体の8割弱です。逆に言うと、1万人余りの子供が指導を受ける機会がないということです。

 外国籍児童・生徒の母語を見ると、ポルトガル語が25.7%で最も多く、中国語(23.7%)、フィリピノ語(19.5%)、スペイン語(9.4%)の順です。

 また、日本語指導が必要な高校生(3933人)のうち、中退した生徒は378人で、中退率は9.6%です。これは高校生全体の中退率1.3%を大幅に上回っています。
 高校卒業後の進学率は42.2%(高校生全体では71.1%)、進学も就職もしていない生徒は18.2%(同6.7%)でした。

 学校はもちろん地域でも、日本語教室や交流会などが行われていますが、今後外国人労働者の受け入れが進むと、日本語指導が必要な子供は増加していくことが予想されます。

 もちろんこうした子供たちに教育の機会を設けることはとても重要なことです。また、子供たちの日本への理解が進み、日本の子供たちと良い意味での多文化交流ができれば、将来の日本社会に貢献する人材に成長することにもつながるでしょう。

 その意味でも、こうした子供たちへの対応は国として大切なテーマだといえます。