コラム・週刊Blessed Life 81
世界平和の決め手は何か

新海 一朗(コラムニスト)

 米中貿易戦争、北朝鮮の非核化の停滞とミサイル発射実験の活発化、日本による韓国に対する「ホワイト国」取り下げと韓国の経済混乱、英国のEU(欧州連合)からの合意なき離脱への加速、ロシアの核ミサイル開発への動き、イランと米国の対立そして米国による有志連合結成の動き…、挙げれば切りのない国際情勢の混迷に、連日メディア報道が踊っています。

 民族同士の対立、国家同士の葛藤、これらは結局、何万年前か十数万年前にいたと考えられる人類の先祖から分かれ出た人間同士の争いであるとすれば、いわば、「兄弟げんか」です。

 朝鮮半島の南北対立も「兄弟げんか」、英国とEUの対立も「兄弟げんか」、日韓の対立も「兄弟げんか」、全て「兄弟げんか」です。

 人類最初の兄弟であるカインとアベルが「兄弟げんか」をして、兄が弟を殺害するという事件が起きたという聖書の記述にあるとおりの「兄弟げんか」です。

 米国とソ連の冷戦も民主主義と共産主義を掲げて争った「兄弟げんか」でした。生き残った最後の共産主義(全体主義)国家の中国と北朝鮮が、民主主義国家の米国に牙をむいているのも「兄弟げんか」です。

 「兄弟げんか」の場合、どちらかが勝っても、負けた方に強い恨みが残って、やがてまたけんかが始まるでしょう。報復で立ち上がってくるのです。
 こういう状態が続けば、世界平和は望めません。ですから、世界平和の決め手は何かと問わざるを得なくなるのです。

 争っている兄弟を包んでくれる存在が必要です。
 それは「父母」です。最後の仲裁役は「父母」です。

 兄をいさめ、弟に言い聞かせ、手をしっかりと結ばせる存在、それが「父母」です。なぜ、「父母」の仲裁が効力を発するのでしょうか。
 それは、父母が兄も弟も、自分が生んだ以上は、両方を愛しているからです。どちらかが「より善い」方で、どちらかが「より悪い」方であっても、両方を「愛で溶かす」ことができるからです。最後は、兄も弟も、父母の愛の中で涙するのです。

 米ソ冷戦(米国の勝利=レーガンの天運)、米中衝突(米国の勝利=トランプの天運)、このように、民主主義アメリカの勝利に終わったとして、その後、どうするのか。

 民主・共産を共に抱き、神様の愛のもとへ抱き上げてくれる「父母」が必要です。
 習近平がその父母の役割を果たすことができるのか。彼は独裁者になることはできても父母になることはできません。プーチンはどうか。できません。残念ながら、世界のG20のリーダーたちに、それ(父母)ができる人はいません。

 民主主義の勝利が最終勝利ではなく、人類全体を真の愛でかき抱く存在が、世界平和の最後の決め手であるという深遠な結論にぶつかるのです。

 「兄弟主義」(兄弟げんかが絶えない)の時代から「父母主義」(愛による和解と統一)の時代への移行です。
 人類は、今、その時期に来ています。