コラム・週刊Blessed Life 80
東京オリンピックを成功させるために

新海 一朗(コラムニスト)

 東京オリンピック(2020年7月24日~8月9日)ならびに東京パラリンピック(2020年8月25日~9月6日)の開催が一年後に迫っています。心配されるのは「テロ」です。

 テロ対策に政府が取り組んでいるのはもちろんですが、どこでどういうテロが発生するのか、ある程度は予測することができても、完全に予測することはできません。万全を期するとはいえ、何が起きるか分かりません。

 しかし、テロ対策をでき得る限り実施しなければならないことは不可避であり、競技と競技施設を守り、選手に危害が及ばないようにし、市民と観光客をテロ事件に巻き込まれないようにしなければなりません。

 東京でテロが起きるだろうかと疑問を感じる人もいるかもしれません。欧米では移民、難民が多く、また、宗教上の衝突(イスラム過激派など)もあり、テロの可能性が非常に高いが、日本ではどうだろうかと少しばかり警戒心の薄さが見られる向きもあります。
 安心安全は日本・東京の最大特徴という外国人の一般的な評価もあって、手を抜けば、それこそテロリストたちの思うつぼです。

 過去の事例を振り返ってみましょう。

 1972年、ミュンヘンオリンピックでは、パレスチナ武装組織「ブラックセプテンバー」の武装したメンバーがイスラエル・パレスチナ問題で対立するイスラエル選手を人質に取って、選手村に籠城し、11人の選手が犠牲となりました。

 1996年のアトランタオリンピックでは、キリスト教原理主義者がオリンピック関連イベント開催中の公園に爆弾を仕掛け、2人の死者と100人を超える負傷者が発生しています。

 2010年以降、欧米でのテロ発生が顕著になっていますが、例えば、2013年のボストンマラソンでは爆破テロがあり、2015年にはパリ同時多発テロ、2016年にはブリュッセル同時多発テロ、2017年にはマンチェスターアリーナ爆破テロなどが起きて、凄惨(せいさん)な被害が生じています。

 最近のテロは、政治的目的が必ずしも明確でない場合があり、無辜(むこ)の市民を殺害すること自体を目的化する傾向も見られます。

 このようなテロの目的や最近の動向、特徴を見ると、オリンピックがテロの攻撃対象になる可能性は決して小さいものではなく、テロを事前に予防し、発生した時の対処能力を2020年に向けて向上させていく必要があります。

 大都市東京で発生するかもしれないテロ…。外から入ってくるテロリストの水際防止(入国検査)、国内に潜在するテロの可能性のある個人や組織の監視など、官民一体のテロ対策が急がれます。

 テロと言わなくても、「京アニ(京都アニメーション)」のような事件が起き、35人もの犠牲者を出す大惨事が平然と起きる日本です。
 決して「安心安全」とは言えない昨今の日本であることを考えると、テロ対策は細心の上にも細心の注意を払い、万全を尽くさなければなりません。