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通いはじめる親子の心 17
「信頼口座」への預け入れ

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第6弾、『通いはじめる親子の心〜子供の気持ちに「共感」する』を毎週火曜日配信(予定)でお届けしています。

多田 聰夫・著

(光言社・刊『通いはじめる親子の心〜子供の気持ちに「共感」する』より)

第四章 愛情を伝える

 誰もが家族で楽しい団欒(だんらん)の場を持ちたいと思うでしょう。しかし、なかなか思うようにいかず、どうしたらよいのか悩んだり、なかにはあきらめてしまっている人もいるのではないでしょうか。

 家族の団欒の場を持つためには、家族の人間関係の中に信頼関係が保たれている必要があります。信頼関係は、あるようで、ない場合が多いのです。家族の中に信頼関係を築くためには、「自分から変わる」ということが絶対に必要です。

「信頼口座」への預け入れ
 信頼関係を築く行為を、銀行にお金を預け入れる行為に例えることができます。お金の代わりに信頼を、銀行の代わりに家族の一人ひとりの心に預け入れると考えてみるのです。

 「預け入れ」というのは、信頼を得るような行為のことを言います。一方、「引き出し」というのは、信頼を低める行為のことを言います。感情的になって、相手の反発を招くような行為です。

 家族との間に、高い「信頼残高」が多く保たれていれば、互いの授受作用は良好なものになり、ちょっとした間違いを犯したとしても、それまでの信頼残高がそれを補ってくれるのです。

 文鮮明(ムン ソンミョン)先生は、次のように語っておられます。

 「『ために生きよう!』。負債を負わせようということです。文総裁が今日までこの統一教会を導きながら、それを考えてきました。最も恐ろしいことが負債を負うことです。精誠を尽くした人がもってきた物は、この宇宙にそれ以上の精誠を尽くさずに受ければ、それは毒薬よりもっと恐ろしいのです」(『後天時代の生活信仰』123ページ)

 「負債」を負うことは、「信頼口座」から信頼を「引き出す」ことになります。

 「信頼口座への預け入れ」の具体的な実践について、スティーブン・コヴィー氏が『ファミリー 七つの習慣・家族実践編』の中で紹介している項目に沿って紹介します。もちろん、これ以外のものもありますから、各家庭で発見していろいろと試してみてください。

①親切にする
 第一は、親切にすることです。

 絶えず気を配りながら小さな親切を続けましょう。それは、決して小さなことではありません。

 まず、「言葉」で親切にすることを考えてみましょう。

 「ありがとう」、「すみません」、「何かできることはある?」、「喜んで」などの言葉を、親が子供に対して素直に言えるならば、家庭の雰囲気も明るくなり、子供たちも素直に思いや考えを言えるようになることでしょう。まず、親のほうから「何かできることはある?」と聞いてみましょう。

 子供が、「肩が凝っているんだけど、もんでくれない?」とでも言ってきたら、「喜んで」と言って、子供の肩をもんであげてください。その時が、子供と会話するチャンスです。そして、親のほうからも「今度は、私の肩もお願い」と言えば、会話が広がっていきます。

 親から子供に「大好きだよ」「愛しているよ」と伝えてあげましょう。

 子供に「大好きだよ」となかなか言えない、ある父親がいました。そういう思いはあっても、子供に言うのが恥ずかしいのです。それでチャンスをうかがっていたのですが、電話で話している時に、やっと息子に「大好きだよ」と言えたというのです。そうしたら、息子が電話の向こうで黙ってしまったそうです。そして、泣いていたというのです。子供に、親の愛情が伝わったのです。親も感動してしまったそうです。

 また、「大好きだよ」、「愛しているよ」、「宝物だよ」といった言葉は、大きな声ではなく、子供の耳元で、小さな声でささやくのが良いのです。そのほうがより親密に感じるのです。

 次に、「行動」で親切にすることを考えてみましょう。

 「皿洗いを一緒にする」、「買い物に行く」、「メッセージメモを弁当箱に入れる」、「電話で気持ちを伝える」、「感謝の気持ちを伝える」、「抱擁する」などがあります。

 子供にとって、親と一緒に何かをすることはうれしいものです。子供に、「皿洗いしなさい」と言うのではなく、「一緒に皿を洗おうか」と言ってみてください。

 また、子供の誕生日の前後、一週間くらい、子供の誕生日に関係するメールを送ってあげてください。「お父さんは、おまえの応援団長だよ」とか、誕生日の前日には、「あしたはいよいよ、お母さんも初めて二十歳の娘を持つのね。わくわくするわ」などといったメールを送ってあげるのです。

 これは時間があるからできるというものではありません。親の心に子供を大事にするという気持ちがしっかりあってこそできるのです。家族を思う気持ちをいつも心に植えて生活していきましょう。

 また、面と向かって子供に話すのは照れくさいところがあります。電話で直接話すのも恥ずかしいという人には、メールは有効な手立てです。大切な人からのメールを大事に保存しておく人も多いのです。(続く)

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 次回は、「心から謝る」をお届けします。


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