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通いはじめる親子の心 16
「行動」「影響」「感情」の三つを伝える

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第6弾、『通いはじめる親子の心〜子供の気持ちに「共感」する』を毎週火曜日配信(予定)でお届けしています。

多田 聰夫・著

(光言社・刊『通いはじめる親子の心〜子供の気持ちに「共感」する』より)

第三章 子供の気持ちに「共感」する

「行動」、「影響」、「感情」の三つを伝える
 「私メッセージ」を、子供が受け入れやすように伝えるためには、三つの要素を入れる必要があります。

 第一に、子供のどんな行動が問題なのか。つまり、どの「行動」が問題か。

 第二に、その「行動」が私(親)にどんな影響を与えているか

 第三に、その「影響」について、私(親)がどう感じているのか。私の感情を正直に伝えること。

 つまり、「行動」、「影響」、「感情」の三つです。いつもこの三点を相手に伝えていくようにするのです。

 では、いくつか「私メッセージ」の例を紹介しましょう。

 例1:「友人と話をしている時に、あなたたちが近くでおしゃべりしている(行動)と、お母さんはイライラする(感情)の。だって、友人の言っていることが聞き取れないんですもの(影響)」

 例2:「階段におもちゃを置く(行動)と、誰かがつまずいて転ぶのではないかと心配よ(感情)。そして、階段の上り下りが難しくなる(影響)でしょ」

 例3:「この部屋の中であなたたちが大きな声を出している(行動)と、気が散って勉強に集中できないし、なかなか理解が進まない(影響)ので、レポートが間に合うか不安でたまらない(感情)んだ」

 このように子供に「私メッセージ」で伝えたほうが、子供の抵抗や反抗を招くことが少ないのです。「あなたがこの行動をしたから、あなたが悪いのだ」と言うよりも、「あなたのこの行動が、私にこのように影響を与え、私はこのように感じた」と話したほうが、子供には受け入れやすいのです。

 では、「私メッセージ」と「あなたメッセージ」を比較してみましょう。

 子供が親の背中を蹴ったとしましょう。その時、親が子供に対して起こす反応は、大きく違うのです。

 「私メッセージ」では、「痛ーい。ああ、痛かった。背中を蹴られるのは嫌だなあ」となります。

 「あなたメッセージ」では、「悪い子ね。そんな風に人の背中を蹴ったら駄目じゃないの」となります。

 「私メッセージ」では、単に子供が蹴ると私がどう感じるかを述べているだけです。これに対して、「あなたメッセージ」では、子供は「悪い子」だというメッセージが伝わってしまいます。

 親の感想を紹介します。

 親の感想:「み言(ことば)を知っていながら、どうして良い家庭をつくれないのか、やっと分かりました。言葉尻をとらえて反論したりしていたし、家族の気持ちを酌むことができていなかったのです。何より、『あなたメッセージ』ばかりでした。次に何を話そうか、答えを用意したりしないで、共感的に、そして積極的に聞くことに意識を集中し、冷静になって『私メッセージ』で話したいです。少しずつ練習して、良い習慣にしていきます。心のゆとりも要りますね」

 「私メッセージ」を用いる効果には、次のようなものがあります。

「私メッセージ」に対して子供が口答えするのは難しい。
子供の反発を招くことが少ない。
親が真実な気持ちを話すので説得力がある。
子供が親の願いに沿って行動を変えるようになる。
子供の気持ちを協力的にさせる。
子供が親の愛情を感じることができる。

 大切なのは、子供を理解したいという気持ちです。本当に子供の気持ちを理解したいと思って接していれば、言葉は自然に出てくるものです。何度も挑戦して、家庭が幸福を勝ち取るまでチャレンジしていきましょう。(続く)

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 次回は、「『信頼口座』への預け入れ」をお届けします。


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