コラム・週刊Blessed Life 64
トランプが中国をたたきつぶす

新海 一朗(コラムニスト)

 2019年度の国際情勢を非常に危うい緊張関係に置いているのは、米中の衝突であり、両国の関税合戦の応酬です。

 トランプ大統領が米中貿易の不均衡に我慢できなくなった大きな原因は、この不均衡を放っておいたら、巨額のドルが中国に流出し、中国が米国を脅かすほどの国力(経済力と軍事力)を保有し、やがて世界を主導する米国の覇権が中国に奪われてしまう恐れが出てきたと判断しているからです。

 とりわけ、中国へ生産拠点を移す際の米国企業に対する知財の強制窃取は、由々しき問題であると見て、米国の重要な知的財産が根こそぎ中国に持っていかれる事態を本格的に見直す動きが、トランプ政権に広がっています。

 中国が発表した「中国製造2025」は、非常に米国を刺激しており、米国を抜き去ろうとするその野望に対して、米国はそうはさせまいと阻止する構えです。
 2025年の中国の国家目標が、ITAI関連などの先端技術の獲得によって、米国や日本などからの重要部品の輸入に頼らない自前の製品生産の体制を確立することに置かれていますから、ITAIの軍事転用の可能性もあり、中国の知財窃取は断じて許さないという措置に出たというのが、米中貿易戦争の裏側の事情(本当の事情)です。

 情報を盗み取るやり方として、中国のハッカーやサイバー攻撃(標的型サイバー攻撃)が日常化しており、サイバー戦争と言われる様相を呈しています。
 特に、人工衛星に搭載されたGPS(全地球測位システム〈Global Positioning System〉)機能などを破壊するために、米国の人工衛星(商業目的・軍事目的・探査目的など)が中国からのミサイル攻撃の対象になっており、今や宇宙戦争のような時代に突入していると言ってよいでしょう。

 米国は、インターネット通信網、偵察、ミサイル防衛、兵器誘導などを人工衛星に依存しており、この人工衛星の破壊を中国が画策していることは許し難いのです。
 中国が米国からの知財窃取をやめないならば、中国は軍事技術の向上により、米国を打ち負かすようになると見て、貿易戦争で中国の不正を抑え、中国経済を衰退させることによって、中国の軍事費の増大を阻止する構えです。

 米中の貿易戦争に加え、別の観点から見ると、米国の民主主義と中国の共産主義が最終戦の段階に入ったと見ることができます。
 中国の共産党一党独裁体制が崩壊するのはいつのことか。遠からずその日がやって来る運命にあるとすれば、その日に向かって、世界の激動が起きており、歴史的転換と言うべき状況が生まれていると言っても過言ではありません。