コラム・週刊Blessed Life 57
霊界からの影響と心理学

新海 一朗(コラムニスト)

 現代社会は、個人、家庭、社会に対する心理学的なアプローチがさまざまになされている時代であると言えます。

 人間の心に関する問題、すなわち、「心の現象学」と捉えることのできる心理学において、独特の立場をとって時代を風靡(ふうび)したのがユング(1875-1961)です。

▲カール・グスタフ・ユング(ウィキペディアより)

 彼の心理学の独創性は、「不死への信仰」「死後の魂の存続」という次元まで心理学を昇華させたということです。

 人間の心の問題が、「死後の魂」「霊界の働き」というところまでつながるのかどうかという疑問が湧き起こるのは自然なことです。科学的な方法で「不死の問題」を検証できるのか否かが問われるからです。

 それでも、ユングは科学的な検証ができるか否かを問う以上に、「不死について考えることは正常であり、それらを考えないこと、あるいはそれを気にしないことこそ異常である」と述べ、心理学を霊的次元まで引き上げることをしました。

 ユングの主張を受け入れることにして、人それぞれの人生を考えると、不死の魂(霊)を持つ人間は、霊界との関係を持って、霊界からの何らかの影響を受けて生きていると見てよいことになります。

 霊界からの何らかの影響(良い影響あるいは悪い影響)は、とりわけ、先祖の霊が及ぼしている影響ということになると考えられます。というのは、遺伝的に、DNA的に、先祖と子孫は引き合っていると考えられるからです。

 このように考えると、地上の人々が幸福になることと霊界の先祖たちが幸福になることとが表裏一体となっていると見ざるを得なくなります。

 先祖の霊の地上生活での恨みを解いてあげるとか、幸せな結婚生活を送れなかった先祖の霊にもう一度幸せな結婚式を挙げてもらい、永遠なる喜びの霊界生活を送ってもらうというようなことを、地上で暮らしている人々が行って差し上げることが意味のあることになるのです。そのような責務を地上人が担っているという結論です。

 霊界の先祖が幸福になればなるほど、地上人たちも幸福になる。そしてまた、地上人たちが幸福になればなるほど、霊界人たちも幸福になるという相乗効果の循環です。

 そのような意味で21世紀は、現在に足場を置いて未来に向かいながら、同時に先祖たちの過去にも向かっているのです。
過去、現在、未来の全歴史を包含する幸福への道を歩まなければならない人類であると言えます。