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青少年事情と教育を考える 319
利他の心と「貢献寿命」

ナビゲーター:中田 孝誠

 昨年11月の本欄で、赤ちゃんには生まれつき利他の心、道徳心や共感する心が備わっているという研究を紹介しました。

 例えば、2歳未満の幼児であっても、自分が好きなお菓子をもらう時より、他の誰かにお菓子をあげる時の方が大きな喜びの表情を見せます。また実験者が他の誰かにお菓子を与えるより、幼児自身が自分のお菓子をあげた時の方が、より大きな喜びを感じているという研究です(奥村優子著『赤ちゃんは世界をどう学んでいくのか』光文社新書)。

 さて、今回は祖父母の年代、高齢者に関係する話を取り上げたいと思います。それは「貢献寿命」という考え方です。
 貢献寿命は、「社会とつながり、役割を持ち、誰かの役に立つ、感謝されるといった関わりを持ち続けられる人生期間」と定義されています。

 長寿に関するこれまでの研究で、「誰かのために行動する人は、そうでない人と比べて幸福度が高く、健康長寿を実現している」ことが分かっています(「貢献寿命延伸への挑戦! ~高齢者が活躍するスマートコミュニティの社会実装~」プロジェクトチームのウェブサイトより)。

 この考え方を提唱した秋山弘子さん(東京大学名誉教授)は、「収入を伴う仕事に限らず、些細(ささい)なことでも『ありがとう』と感謝される『貢献寿命』の延伸は、個人と社会のwell-beingに資する」と、人生における社会貢献の大切さを語っています(公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット)。

 秋山さんはまた、セカンドライフの設計として、「例えば小学生から高齢者までの住民が『1カ月に1時間、住んでいる街のために働こう』という取り組みをコミュニティーで進めてはどうか」とも提案しています(東京新聞2026227日)。

 生まれたばかりの赤ちゃんに利他の心が備わっていることと「貢献寿命」を合わせて考えると、赤ちゃんの利他の心をしっかり育てていくことが、高齢になっても人生の喜びと、より良い社会づくりにつながるといえそうです。