コラム・週刊Blessed Life 51
縦の関係と横の関係を良くすれば幸せになれる

新海 一朗(コラムニスト)

 中島みゆきさんの歌に「糸」という名曲があります。
 その歌詞には「縦の糸はあなた 横の糸は私」という言葉があります。縦糸と横糸がしっかりと織り合わせられて幸せになれると言うのでしょう。

 人間存在を考えると、縦糸は、私をさかのぼって、父母、祖父母、先祖、そしてアダムとエバまで行くことになり、その先に人間をお創りになった神様がいらっしゃるということになります。
 従って、人間にとって、「縦の関係」は究極的には神との関係になります。
 アダムとエバの関係は人間同士の関係、すなわち、横の関係であり、全ての人間関係は縦の関係(父母と子女など)もありますが、神様の目から見れば、総じて「横の関係」と言えます。
 それゆえ、人間と神との関係=縦の関係(信仰の世界)、人間と人間の関係=横の関係(実体の世界)とみることができます。

 旧約聖書の出エジプト記第20章2~17節を見ますと、いわゆる「モーセの十戒」が記されていますが、よく読むと、第一戒から第四戒までが神と人間の関係を規定しています。第五戒から第十戒までが人間と人間の関係を規定しているのが分かります。
 十戒の中に、縦糸と横糸が明確に記されており、人として生きるための根本原理、すなわち、人倫の法則が、神との関係と人との関係の二つをしっかりと守らなければならないと教えているのです。

 それでは、「モーセの十戒=律法の中心」を全うする精神は何かと言えば、それは「愛」という言葉に集約されるとイエスは説き、パウロもそのように述べました。
 「神を愛し、隣り人を愛する」(マタイによる福音書 第22章36~40節)という二大法則の中に、縦の関係も横の関係も「愛」がポイントであるとイエスは教えているのです。

 パウロも「愛は隣り人に害を加えることはない。だから、愛は律法を完成するものである」(ローマ人への手紙 第13章10節)と言っています。

 幸せになるために、いろいろな生き方があると思いますが、一番の根本は、「神様を愛し、人を愛する人生」であると聖人が教えていらっしゃるわけですから、そのことを心掛けて人生を送りましょう。