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シリーズ・「宗教」を読み解く 399
ユダヤ・キリスト教の歴史に見る選民の共同体⑱
迫害に抗う共同体

ナビゲーター:石丸 志信

 紀元前2世紀に入り、「神の民」である共同体にさらなる試練が押し寄せてくる。

 セレウコス朝シリアの王アンティオコス4世エピファネスがユダヤの地を支配下に置いた時、彼は統治下で一層のヘレニズム化を図ることになった。
 王はエルサレムに要塞を築き、ユダヤ人たちを監視した。さらに、紀元前167年にユダヤ教禁止令を公布し、シリアの支配に対する抵抗の力をそごうとした。

 キリスト教が初代教会の時代から受け継いできたギリシャ語訳聖書である「七十人訳聖書(セプトゥアギンタ)」には、この時代のユダヤの歴史を記したマカバイ記が収められている。
 その書では、「悪の元凶、アンティオコス・エピファネス」と呼び、こう書き記している。

 「王は領内の全域に、すべての人々が一つの民族となるために、おのおの自分の慣習を捨てるよう、勅令を発した。そこで異邦人たちは皆、王の命令に従った。また、イスラエルの多くの者たちが、進んで王の宗教を受け入れ、偶像にいけにえを献げ、安息日を汚した」(マカバイ記 第14143節、新共同訳)

 王は民に、この命令を遵守(じゅんしゅ)するよう求めた。
 律法の巻物は焼かれ、これを隠し持つ者や律法を守る生活をする者は、捕らえられ処刑された。割礼を子供に施した親は死刑となった。
 ついには、エルサレム神殿に異教の神の像が祭られるまでになった。

 これに対して憤りを覚え、抵抗運動を始めたのが、ハスモン家のマタティアと5人の息子たちだった。
 異教の祭儀を強要する王の官吏とそれに従うユダヤ人をその場で切り殺し、荒野に逃げ込んだ。ユダヤの律法を守ろうとする「敬虔主義者(ハシディーム)」らも、彼らに付き従った。
 こうして始まったマカバイの反乱は、ユダヤの自治を回復するまで続くことになる。

 反乱から一年、マタティアは病に倒れ、息子らにその使命を託し、イスラエル民族の父祖たち、王、預言者らの業績を思い起こすようにと、次のように遺言した。

 「今は高慢とさげすみのはびこる、破滅と憤りの世だ。お前たちは律法に情熱を傾け、我らの先祖の契約に命をかけよ。我らの先祖がそれぞれの時代になした業を思い起こせ。そうすればお前たちは、大いなる栄光と永遠の名を受け継ぐことになる。…お前たちは、律法をよりどころとして雄々しく強くあれ。律法によってこそお前たちは栄誉を受けるのだ」(同 第2495164

 その後、三男のイェフタ(ユダ)・マカバイが反乱を指揮し、セレウコス朝軍を数度にわたって撃破した。
 紀元前164年、ついにエルサレムを解放し、12月に偶像で汚されていた神殿の「宮潔め」を行った。

 その後も戦闘は続き、イェフタが戦死すると、五男のヨナタンと次男のシモンが継承。紀元前142年、デメトリオス2世はユダヤの自治を認めた。

 2年後、エルサレムに召集された大集会において、シモンが「大祭司・民族支配者・ユダヤ軍最高司令官」であると承認された。
 しかるべき預言者が来るまで、その地位はハスモン家が継承することになる。



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