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シリーズ・「宗教」を読み解く 398
ユダヤ・キリスト教の歴史に見る選民の共同体⑰
打ち砕かれた心をささげる共同体

ナビゲーター:石丸 志信

 「神の民」と呼ばれた選民イスラエルのたどる道は苦難の連続だった。
 バビロンの捕囚から解放され、祖国に帰還した後、聖都エルサレムに神殿の再建ができたとしても、かつて栄えたイスラエル王国を復興できたわけではなかった。ペルシャ帝国の庇護(ひご)の下では、彼らの信仰を表すことが許されたに過ぎなかった。

 エズラ、ネヘミヤの改革からおよそ1世紀の後、紀元前4世紀に入って、マケドニア出身のアレキサンダー大王の登場で事態は一変する。

 幼少期に賢哲アリストテレスの薫陶を受けた若き王は、軍神のごとき戦略・戦術の才を発揮し、ペルシャ帝国を滅ぼし、東洋と西洋にまたがる広範囲を一気に征服した。
 ギリシャ文化とオリエント文化の融合したヘレニズム文化世界がこの地を覆った。

 新たな征服者の文化的影響下にあって、イスラエルの民のアイデンティティーが揺さぶられる中、今一度自らの信仰の本質に帰る機会となった。
 後に、使徒パウロは、初代教会の信徒らを励まし、次のように語っている。 

 「そればかりでなく、苦難をも誇りとします。わたしたちは知っているのです、苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。希望はわたしたちを欺くことがありません」(ローマの信徒への手紙 第535節、新共同訳)

 イスラエル民族の伝統を引き継いできたパウロの言葉には、今、目の前にある苦難の現状に直面する信徒らへの共感と激励の思いだけでなく、長き選民の歴史に流れる魂が息づいているのを感じる。

 ヘレニズム文化に覆われ、聖都エルサレムの第2神殿さえ、ギリシャの神々を祭ることを強要されるに至る。
 そうした中で、ユダヤ人コミュニティーの中心に建てられた会堂(シナゴーグ)がイスラエルの民の伝統を守る館として重要な役割を果たすことになる。

 本来、神殿で奉献されるべき犠牲の供え物に代わって、分神殿たるシナゴーグでは、神のみ言を朗唱することを奉献の供え物とした。
 ダビデの悔い改めの詩篇にはこうある。

 「神よ、わたしの救いの神よ
流血の災いからわたしを救い出してください。
恵みの御業をこの舌は喜び歌います。
主よ、わたしの唇を開いてください
この口はあなたの賛美を歌います。
もしいけにえがあなたに喜ばれ
焼き尽くす献げ物が御旨にかなうのなら
わたしはそれをささげます。
しかし、神の求めるいけにえは打ち砕かれた霊。
打ち砕かれ悔いる心を
神よ、あなたは侮られません」
(詩編511619節、新共同訳)

 選民共同体が安息日に会堂でささげる礼拝は、モーセを通して創造主なる神から与えられたみ言である律法(トーラー)の朗唱と詩篇の賛美を通して選民の魂を呼び覚まし、打ち砕かれた心を救いの神へとささげるものとなっていた。

 イスラエルの民が住まう所では、世界の各地のどこでも、同じ祈りがささげられるようになっていく。



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