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青少年事情と教育を考える 309
DVの被害受けた父親に児童虐待のリスク

ナビゲーター:中田 孝誠

 「家庭内暴力」というと、男性(夫、父親)が女性(妻、母親)に暴力を振るうというイメージがありますが、実際には逆のケースもあります。
 父親が家庭内暴力を受けていた場合、子供を虐待するリスクが高まるという研究を、国立成育医療研究センターなどの研究グループが昨年(2025年)8月に発表しました。

 これまで母親が暴力を受けていた時の影響については多くの研究がありましたが、父親の場合はほとんどありませんでした。 
 今回は生後1年以内の子供を育てる父親1200人余りの調査を分析したもので、家庭内でパートナーから何らかの暴力を受けていた父親は13.6%でした。

 こうした父親の家庭では、子供への虐待のリスクが約2倍に高まりました。特に、ネグレクト(育児放棄)は約3.1倍、心理的虐待は約2.1倍になります。

 父親が暴力の被害を受けていると、家庭内に緊張が広がり、子供との関係性が悪くなったり、関わりが希薄化したりするなどして、虐待のリスクが高まると想定されています。
 もちろん被害を受けているのが母親の場合も、子供への悪影響は深刻です。

 研究グループでは、こうした事態を防ぐために、これまで支援の中心だった母子保健から、家族全体を支える支援へ広げることが子供の安全と健やかな育ちを支えると指摘しています。

 ちなみに内閣府の調査では、結婚経験がある女性の27.5%、男性の22.0%が、配偶者から身体的暴行や心理的攻撃などの被害を受けたことがあると答えています(内閣府『男女間における暴力に関する報告書』2024年)。