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シリーズ・「宗教」を読み解く 393
ユダヤ・キリスト教の歴史に見る選民の共同体⑫
神の民としての共同体

ナビゲーター:石丸 志信

 創造主なる神の前で12部族が一つとなり、神の言葉を受けとめ、それを全て守ると誓った時、神はイスラエルと契約を結んだ。

 神はハランの地で呼び出したアブラハムのごとく、ベテルの地で祝福の言葉をかけ、あなたと共にいると約束したヤコブのごとく、その民族共同体を一個人であるかのように「わがしもべ」と親しく呼んだ。

 それ以来、神はイスラエルの民と共にいて、その契約を守り、約束の地へと導き入れた。そこは、アブラハムに示した地、父祖たちの故郷となった地であった。そこに民は定着し、神が王として治めることのできる統一された国を建てることを願われた。

 主なる神は、ヤコブには「わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である」(創世記 第2813節、以下口語訳)と名のり、モーセには「わたしは、あなたの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である」(出エジプト記 第36節)と名のって現れた。

 そのかたが、「わたしはあなたの神、主であって、あなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出した者である。あなたはわたしのほかに、なにものをも神としてはならない」(出エジプト記 第2023節)と民に命じ、「われわれの神、主は唯一の主である」(申命記 第64節)と民は公に告白した。

 主なる神がイスラエルの民と契約を結び、主従関係が締結された。
 神は彼らを「わが民イスラエル」(エレミヤ書 第1214節、エゼキエル書 第149節、アモス書 第78節)と呼んだ。
 イスラエルの民は創造主を「イスラエルの神」(詩編 第7218節)とたたえて賛美し、「主、イスラエルの王、イスラエルをあがなう者、万軍の主」(イザヤ書 第446節)と呼び、唯一なるかたとして仰ぎ見てきた。イスラエルの民は「神の民」と呼び得る共同体となった。

 それ以来、神は、民が誓いを忘れ契約を守らない時があったとしても、神がそれを破棄することはなく、絶えず彼らと共にあった。彼らが主の道から外れる時も、神は厳しい裁きの言葉で臨みながらも、決して見捨てることはなかった。

 預言者を通して悔い改めを促す神の呼びかけは切実だった。
 「わが民よ、聞け、わたしは言う。イスラエルよ、わたしはあなたにむかってあかしをなす。わたしは神、あなたの神である。わたしがあなたを責めるのは、あなたのいけにえのゆえではない。あなたの燔祭(はんさい)はいつもわたしの前にある。…感謝のいけにえを神にささげよ。あなたの誓いをいと高き者に果せ。悩みの日にわたしを呼べ、わたしはあなたを助け、あなたはわたしをあがめるであろう」(詩編 第5078節、1415節)

 それは、決して切ることのできない親しき契りを結んだが故であることを思い起こさせる。
 神とイスラエルの民とは「あわれみの綱、すなわち愛のひも」(ホセア書 第114)で結ばれた関係だからだという。

 さらに、苦難の中にいる民に神は語る。
 「女がその乳のみ子を忘れて、その腹の子を、あわれまないようなことがあろうか。たとい彼らが忘れるようなことがあっても、わたしは、あなたを忘れることはない。見よ、わたしは、たなごころにあなたを彫り刻んだ。あなたの石がきは常にわが前にある」(イザヤ書 第491516節)と。

 イスラエル民族は、創造主なる神から選ばれ、愛の絆で結ばれた「神の民」であるとの自覚を持って、苦難の歴史を越えてきた。



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