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シリーズ・「宗教」を読み解く 392
ユダヤ・キリスト教の歴史に見る選民の共同体⑪
契約の民としての共同体

ナビゲーター:石丸 志信

 聖霊降臨を経て新しく生まれた共同体は、自らを新しいイスラエルと呼んだ。
 それは、メシヤであるイエスを迎えるまでの準備をしたイスラエル民族の伝統を継承し、刷新し、発展させる使命を持つ共同体であるとの自覚があったものと思われる。
 それが2千年のキリスト教共同体が築き上げる伝統の根底にある。

 では、先駆者となったイスラエル民族共同体はどのようなものだったのだろうか。
 創造主なる神はアブラハムの子、イサクの息子ヤコブにイスラエルという名を与えた。

 彼の12人の息子たちの子孫が生み増え、12支派を形成していく。12部族連合からイスラエルの統一王国を形成するに至る。
 その国も紆余曲折を経ながら興亡を繰り返し、2千年、2千年と歳月を重ねてきた。その中で、彼らの胸には「選民」としての思いが息づいてきた。

 かつてエジプトの奴隷であった民を、神はモーセを遣わし、奇跡をもって導き出され、約束の地、乳と密の流れる地へと導いていった。
 その途上、神は彼らと契約を結び、み言(ことば)を与えた。

 神はシナイでモーセを山に呼び寄せ、こう語った。

 「このように、ヤコブの家に言い、イスラエルの人々に告げなさい、『あなたがたは、わたしがエジプトびとにした事と、あなたがたを鷲の翼に載せてわたしの所にこさせたことを見た。それで、もしあなたがたが、まことにわたしの声に聞き従い、わたしの契約を守るならば、あなたがたはすべての民にまさって、わたしの宝となるであろう。全地はわたしの所有だからである。あなたがたはわたしに対して祭司の国となり、また聖なる民となるであろう』」(出エジプト記 第1936節、口語訳)

 モーセが民にこのことを告げるとイスラエルの人々は、「われわれは主が言われたことを、みな行います」(同 第198節)と口々に答えた。

 民は心一つにして神のみ言を受ける意志を表明したので、3日間の聖別の後に彼らは神のみ言を受けることになる。そこでモーセは山に登り、十戒並びに契約のみ言を頂く。

 モーセはイスラエルの民を集め、主から受けた言葉を全て聞かせ、民は皆、声を一つにして「わたしたちは主の仰せられた言葉を皆、行います」(同 第243節)と答えている。そこで祭壇を築き、燔祭をささげ、犠牲の血で聖別して契約を結んだ。

 それ以来、神はイスラエルを貴き宝のごとくに思い、「わがしもべヤコブよ、わたしが選んだイスラエルよ」(イザヤ書 第441節)と親しく呼び、あたかも一人の人物であるかのように民を慈しむことになる。



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