世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

米国がウクライナ「和平案」を提示

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、1117日から23日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 日韓共同訓練、見送りへ(1117日)。台湾・頼清徳総統が中国に自制を要求(17日)。国連安保理、ガザ和平・米主導案を採択(17日)。米政権、新たな和平計画を起草しウクライナに提示(19日)。中国政府、日本政府に水産物再開手続きの見合わせを通知(19日)。トランプ氏、マムダニ次期ニューヨーク市長と面談(21日)、などです。

 トランプ大統領は1119日、ロシアの侵略を受けるウクライナに対して「和平案」を提示しました。その和平案についての回答期限を27日とすることも示したのです。

 ロイター通信によれば、和平案はスティーブン・ウィトコフ中東担当特使が、10月下旬にロシアのプーチン大統領に近いキリル・ドミトリエフ大統領特別特使と協議して作成したものであるといいます。
 内容は「ロシア寄り」となっています。トランプ氏は、ロシアとウクライナが一日も早く交渉の場に就くことを考えてのことなのでしょう。

 ウィトコフ氏は、パレスチナ自治区ガザの包括的な和平計画の作成にも携わった人物です。
 ガザ停戦の成功体験を踏まえて、トランプ氏がウィトコフ氏に密命を与え「米露案」をウクライナに飲ませる構図を作り上げたのです。しかしこれが最終案ではなく、交渉舞台を準備することを最優先しているものと思われます。

 朝日新聞の報道によれば、その和平案の要点は以下のようになっているとのことです。

 まず、ウクライナについてです。
*強固な「安全の保証」を受ける。
*NATO(北大西洋条約機構)には加盟しない。
*クリミアと東部2州(ドネツク、ルハンスク)は事実上の「ロシア領」として承認される。
*南部2州(へルソン、ザポリージャ)の前線は凍結され、事実上の境界線として承認される。
*100日以内に選挙を実施する。
 などです。

 次にロシアについてです。
*制裁緩和が協議される。
*G8に再び招待される。
*欧州やウクライナへの「非侵略政策」を法律に明記する。
*クリミアと東部、南部4州以外で支配するウクライナ領は放棄する。
 などです。

 ゼレンスキー大統領は、厳しい立場に立たされています。
 汚職事件で国内が揺れている中で、米国からの和平圧力を受けているのです。

 11月21日にビデオ出演し、その中で「尊厳を失うか重要なパートナーを失うリスクを負うか、厳しい選択を迫れている」と厳しい表情で語りました。
 「尊厳を失う」とは一部の領土をロシアに譲渡することを意味しており、「重要なパートナーを失う」とは米国の支援を受けることができなくなることを意味しています。

 英仏独、日本、カナダなど12カ国と欧州連合(EU)の首脳は1122日、南アフリカで開催中のG20首脳会議に合わせて会合を開き、米国の和平案について協議したのです。
 首脳らは声明で、「力による国境の変更を許されないとの原則は明白だ」と強調。領土割譲は認められないとして、修正が必要だとの認識を明確にしています。

 23日、米国とウクライナはスイス・ジュネーブで和平案に関する高官協議を行いました。
 米国側は、ルビオ国務長官、ウィトコフ中東担当大使、ダン・ドリスコル陸軍長官が出席し、ウクライナ側はアンドリュー・イェルマーク大統領府長官が率いる担当者が参加し、英仏独伊や欧州連合も参加しました。

 10月末、米国はロシアに厳しい追加制裁(ロシアの2大石油企業に対する経済制裁)を科しています。
 妥結の機が熟したのか、今後の経緯を見守りましょう。



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