https://www.kogensha.jp/shop/detail.php?id=4337

シリーズ・「宗教」を読み解く 388
ユダヤ・キリスト教の歴史に見る選民の共同体⑦
神の家族である共同体

ナビゲーター:石丸 志信

 ヨハネによる福音書によれば、イエスは最後の晩餐(ばんさん)の席でこのように祈ったとある。

 「父よ、あなたがわたしの内におられ、わたしがあなたの内にいるように、すべての人を一つにしてください。彼らもわたしたちの内にいるようにしてください。そうすれば、世は、あなたがわたしをお遣わしになったことを、信じるようになります。あなたがくださった栄光を、わたしは彼らに与えました。わたしたちが一つであるように、彼らも一つになるためです。わたしが彼らの内におり、あなたがわたしの内におられるのは、彼らが完全に一つになるためです」(ヨハネによる福音書 第172123節、新共同訳)

 神の独り子の切実な祈りは、弟子たちの心に刻まれていた。
 イエスの十字架の死と復活の後、聖霊降臨を通して、ようやく弟子たちの実践するところとなった。イエスのこの祈りは、共同体の新しい戒めとなっていった。

 「愛する者たち、互いに愛し合いましょう」(ヨハネの手紙一 第47節、新共同訳)

 共同体に招かれた人々に弟子たちは呼びかけ、イエス・キリストによって示された神の愛に応えるよう促す。

 「愛する者たち、神がこのようにわたしたちを愛されたのですから、わたしたちも互いに愛し合うべきです。いまだかつて神を見た者はいません。わたしたちが互いに愛し合うならば、神はわたしたちの内にとどまってくださり、神の愛がわたしたちの内で全うされているのです」(同 第41112節、新共同訳)

 復活したイエス・キリストによって使徒とされたパウロも、12使徒たちから受け継いだ新しい戒めを各地に形成されて共同体に伝えていく。
 その際、パウロはこの共同体がキリストを頭とする一つの体だと表現している。

 また、「聖なる民」「神の家族」と呼び、イエス・キリストを礎石とする「主の神殿」、キリストによって建てられた「霊の働きによって神の住まい」となるとも表現している。(エフェソの信徒への手紙 第21922節、新共同訳)

 「教会(エクレジア)」は、創造主、父なる神と独り子イエス・キリスト、聖霊が共にある共同体であると諭している。
 そして、パウロは祈りを込めて、エフェソ(エペソ)の共同体にこう書き送っている。

 「こういうわけで、わたしは御父(おんちち)の前にひざまずいて祈ります。御父から、天と地にあるすべての家族がその名を与えられています。どうか、御父が、その豊かな栄光に従い、その霊により、力をもってあなたがたの内なる人を強めて、信仰によってあなたがたの心の内にキリストを住まわせ、あなたがたを愛に根ざし、愛にしっかりと立つ者としてくださるように。また、あなたがたがすべての聖なる者たちと共に、キリストの愛の広さ、長さ、高さ、深さがどれほどであるかを理解し、人の知識をはるかに超えるこの愛を知るようになり、そしてついには、神の満ちあふれる豊かさのすべてにあずかり、それによって満たされるように」(同 第31419節、新共同訳)

 これは殉教の死を目前にした使徒パウロの祈りであったようだ。



★おすすめ関連動画★

ザ・インタビュー 第22回
【石丸志信・世界平和宗教連合会長に聞く(その1)「超宗教運動の30年を振り返って」】

U-ONE TVアプリで視聴する


ザ・インタビュー 第23回
【石丸志信・世界平和宗教連合会長に聞く(その2)「宗教者の対話を促進する『超宗教フォーラム』」】

U-ONE TVアプリで視聴する


ザ・インタビュー 第24回
【石丸志信・世界平和宗教連合会長に聞く(その3)「宗教者の役割と祈りの重要性」】

U-ONE TVアプリで視聴する


ザ・インタビュー 第25回
【石丸志信・世界平和宗教連合会長に聞く(その4)「超宗教平和運動への召命」】

U-ONE TVアプリで視聴する

---

 U-ONE TVの動画を見るにはU-ONE TVアプリが必要です!
 無料ですので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

ダウンロードはコチラから

Android

iOS

ダウンロード方法について

▲画像をタッチすると視聴できます