2025.10.31 17:00

青少年事情と教育を考える 304
AIは「感情を共有できる相手」
ナビゲーター:中田 孝誠
「AI」は気軽に感情を共有できる相手――。
電通が7月に公表した意識調査で、こんな結果が明らかになりました。
「対話型AIとの関係性に関する意識調査」で、対話型AIを週1回以上使用するという12~69歳の1000人を対象に行われました。
調査結果を見ると、AIと話す内容は、「情報収集」(64.4%)、「勉強や仕事などで分からないことを教えてもらう」(47.1%)などが中心です。約半数の人が「自分の知らないことを教えてほしい」「アイデアを出してほしい」といった、勉強や仕事の道具として使いたいと考えていました。
一方、「気軽に感情を共有できる」相手として「対話型AI」を挙げた人が64.9%いました。「親友」が64.6%、「母」が62.7%ですから、親友や母親と同じレベルでAIが何でも話せる相手になっているというわけです。

年代別に見ると、10代は72.6%、20代では74.5%と、AIを使う人の4人に3人がこのような感情を持っていました。
対話型AIが親友や母親と同じレベルの存在になっているというのも驚きです。実際、10代では「話し相手になってほしい」「心の支えになってほしい」という回答が3割前後で、他の年代より多くなっています。
一方で、アメリカではAIの利用で精神的な影響を受けたとされる事件が起き、問題になっています。
カリフォルニア州では16歳の少年がAIとの対話の影響で自殺したとして、両親が開発元を相手に裁判を起こしました。
10代ではありませんが、AIとの対話で被害妄想を膨らませたと見られる50代の男が、母親を殺害して自殺するという事件もコネチカット州で起きています。
こうした事態を受けて対話型AIの開発元では、10代が利用する際は親が管理できる仕組みを導入すると発表しています。
今後も社会に大きな恩恵をもたらすであろうAIですが、特に10代の若い世代については家庭や社会環境を含めて付き合い方を考えていく必要がありそうです。