世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

注目すべき中国共産党「4中全会」声明

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、1020日から26日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 中国共産党の第20期中央委員会第4回全体会議の開催(1020日~23日)。衆参両院での首班指名選挙で高市早苗氏が第104代首相に選任(21日)。北朝鮮、黄海北道から弾道弾数発を発射(22日)。米国、コロンビア・ペトロ大統領に麻薬対策不十分で制裁科すと発表(24日)。高市首相、ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議に出席(26日)、などです。

 「4中全会」とは、中国共産党の第4回中央委員会全体会議をいいます。5年に一度の党大会で選出された中央委員会が開催する年次会議の4回目で、特徴は特定の政策課題や戦略的方向を議論し決定する極めて重要な会議で、20日開幕し23日に閉幕し、その後「声明」(コミュニケ)が公表されました。

 今回の4中全会は、異例ともいえる内容が含まれており、関係者から注目されていいます。というのも、通常であれば「5中全会」で議論される次期5カ年計画(2026年から2030年まで)が、今回の全体会議において前倒しで審議されたのです。理由はまだよく分かりません。

 会議はまず、習近平総書記が中央政治局を代表して活動報告を行い、続いて第155カ年計画の策定指針案について説明することから始まりました。会議は非公開のため、その内容は閉幕後の声明で明らかになりました。

 重要なポイントは3点。まず人事です。
 人民解放軍中央軍事委員会副主席・何衛東氏の党籍剥奪処分を確認し、後任に中央軍事委員の張昇民委員(67)を引き上げる人事を決定しました。
 張氏は中央軍事委で「反腐敗」を担う規律検査を担当してきた人物です。

 党籍剥奪処分を受けたのは何氏を含む計14人です。しかし中央委員の補充は11人で、最高軍事指導機関である中央軍事委員会の委員の補充は行われませんでした。よって7人で現体制は発足したのですが、現在は4人となったのです。なお、当初205人いた中央委員のうち、この会議に出席したのは168人でした。

 以上の人事案件から、習氏の権力基盤が揺らいでいるのか、それとも腐敗解消の一環なのかの疑問が湧きますが、まだ見極められません。しかしいずれ明らかになるでしょう。

 次に、「第155カ年計画」の基本方針についてです。
 現在進められている5カ年計画の成果を踏まえ、2035年までに経済力や科学技術力、国防力、総合的な国力、国際的な影響力を「飛躍的に高める」との方針を掲げました。一人当たりの国民総生産(GDP)を「中等先進国の水準」にとの目標を掲げています。

 さらに、対立が激化している米国の存在を念頭に「高水準の科学技術の自立自強」を急ぐことを指示し、「国家の主権、安全を守るための戦闘能力を高め、先進的戦闘力の整備を加速」することによって、台湾問題で「祖国統一の大業を推進する」と強調しました。
 台湾併呑(へいどん)に対して改めて意欲と覚悟を示したといわなければなりません。

 習近平氏は、党総書記の任期は210年という慣例を破って、現在3期目です。
 今回の4中全会の声明は、結局、習氏が2027年の共産党大会後も政権を継続するという決意を示したものといわなければなりません。4中全会の主要目的はここにあったのかもしれません。



★おすすめ関連動画★

国際勝共連合 街頭演説
「激化する諜報戦~スパイ罪なき日本が世界の混乱要因に」

2025年8月29日 大塚駅


ザ・インタビュー 第29回

【渡邊芳雄・国際勝共連合常任顧問に聞く(その1)「『勝共』~神を否定する共産主義に打ち勝つために】

U-ONE TVアプリで視聴する


ザ・インタビュー 第30回
【渡邊芳雄・国際勝共連合常任顧問に聞く(その2)「神と共に生きる共同体理想の実現を目指して」】

U-ONE TVアプリで視聴する


ザ・インタビュー 第31回
【渡邊芳雄・国際勝共連合常任顧問に聞く(その3)「神は私と共に生きて今ここにいらっしゃる」】

U-ONE TVアプリで視聴する

---

 U-ONE TVの動画を見るにはU-ONE TVアプリが必要です!
 無料ですので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

ダウンロードはコチラから

Android

iOS

ダウンロード方法について

▲画像をタッチすると視聴できます