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~情報分析者の視点~

中国国防省、異例の軍高官9人の処分を公表

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、1013日から19日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 ハマス、人質20人を解放(1013日)。米中、レアアース巡り協議(13日)。ロシア、北方領土周辺海域での「無害通航権」停止通告判明(15日)。米、ロシア産エネルギー金融期待、日米財務相会談で(15日)。中国国防省、軍高官9人の処分を公表(17日)。トランプ、ゼレンスキーと会談、米国はトマホーク供与に慎重(17日)。台湾・国民党主席に親中の鄭麗文氏が当選(18日)。中国経済成長4.8%に減速、統計局発表(20日)、などです。

 中国国防省は1017日、汚職が原因と見られる軍高官9人への中国共産党の党籍剥奪処分を発表しました。習政権下でも異例の規模の「粛清」となりました。

 中国軍に何が起きているのか、本当のところがつかめていません。
 「反腐敗」の一環であるとのことですが、人事的穴埋めが追いついていません。何しろ、今回処分された9人全員が、軍の最高位の階級である上将(他国の大将に当たる)なのです。

 制服組ナンバー2の何衛東・中央軍事委員会副主席、そして苗華・中央軍事委員会委委員など、失脚した多くの幹部は福建省が拠点の部隊出身です。
 特に、何衛東氏は党内ではトップ24人の政治局員であり、現役の政治局員の失脚は2017年に党籍剥奪などの処分を受けた孫政才・元重慶党委員会書記以来となります。

 そして、台湾方面を担当する東部戦区司令官だった林向陽氏や統合作戦指揮センター常務副主任だった王秀斌氏、ミサイル部隊であるロケット軍司令官を務めた王厚斌氏といった作戦部門のトップ級も含まれていることから、今後、台湾などへの作戦展開能力への影響も指摘されているのです。

 しかし現時点では、影響は限定的であるといわれています。根拠として、何衛東氏や林向陽氏は3月半ばには失脚していたと見られるのですが、翌4月には台湾周辺で大規模な軍事演習が行われているからだといわれています。

 たとえ軍の作戦体制に影響はないとしても、政治的な指導を巡っては混乱が出ている可能性があるとの見方もあります。
 制服組トップである張又侠・中央軍事委員会副主席と習氏の確執がかねて指摘されているからです。
 そのためか、書籍やメディアの記事を通じて習氏の権威を保とうとする動きが目立っています。

 今後の展開が注目されますが、特に、1020日から23日に開かれる中央委員を集めた「4中全会」(第20期中央委員会第4回総会)でどのような人事が行われるのか、注目しておきましょう。



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