2025.10.21 17:00

シリーズ・「宗教」を読み解く 384
ユダヤ・キリスト教の歴史に見る選民の共同体③
神の独り子イエスと共にある共同体
ナビゲーター:石丸 志信
五旬祭の日に使徒たちが再び集まった場所は、エルサレムのマルコの2階部屋。50日前、過越祭の最中、イエスと最後の晩餐(ばんさん)を共にした部屋だった。
約束どおり聖霊が下された時、彼らはあの夜イエスが語られたことをはっきりと思い起こすことができた。
それは、十字架に向かう決意を固めたイエスの遺言ともいうべき説教と、天の父に向かう祈りであった。
その夜、イエスは弟子たちの足を洗い、仕える者の模範を示した。
だがこの中に裏切る者がいると告げた時、弟子たちに動揺が走った。直後にイスカリオテのユダが部屋を飛び出していった。
イエスは静かに弟子たちに語り始めた。
「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。互いに愛し合うならば、それによってあなたがたがわたしの弟子であることを、皆が知るようになる」(ヨハネによる福音書 第13章34~35節、新共同訳)
イエスが弟子たちに示した愛の模範に倣うよう勧め、兄弟愛を深めていくことが弟子であることの証しとなると語る。
さらにイエスこそが天の父なる神への道であり神の独り子であることを告げ、すぐに悟ることのできない弟子に畳みかけた。
「わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、だれも父のもとに行くことができない」(同 第14章6節、新共同訳)
「わたしを見た者は、父を見たのだ。なぜ、『わたしたちに御父をお示しください』と言うのか。わたしが父の内におり、父がわたしの内におられることを、信じないのか」(同 第14章9~10節、新共同訳)
神の独り子イエスの人生は、目に見えない天の父なる神を現実世界に顕現させるかただった。
最後の時が切迫する中、これまで隠されたイエスの真実を明らかにし、彼と一つとなって、その実りをもたらすことを願った。
イエスが天の父のうちにおり、天の父がイエスのうちにおられるように、弟子たちもまた、イエスのうちにおり、イエスが弟子たちのうちにおられるようになれば、弟子たちもイエスのなす愛の御業(みわざ)をなすことができるようになるというのだ。
緊迫した状況の中でも、弟子たちがイエスの語った真意を悟っていたらどうだろうか。ゲツセマネの園で祈るイエスの傍らで眠ってしまった弟子たちにはまだ理解するには至らなかったのだろう。
聖霊が与えられて初めて、彼らはイエスの言葉を思い起し、目が開かれ、悟った。
イエスはまた言う。
「わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。人がわたしにつながっており、わたしもその人につながっていれば、その人は豊かに実を結ぶ」(同 第15章5節、新共同訳)
十字架で死に、黄泉(よみ)に下って、3日目に復活し、高く上げられたイエスと聖霊によって新しい共同体は生み出された。
そしてこの共同体の中心に、イエス・キリストと聖霊がいた。
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