2025.09.30 17:00

世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
国連「対イラン制裁」が復活、イランの対応に注目
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、9月22日から28日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
ロシア、「核軍縮合意を順守」(失効後1年間)を表明(9月22日)。金正恩(キム・ジョンウン)氏が米朝対話に言及、北朝鮮メディアが報じる(22日)。トランプ大統領、国連総会で「国連批判」演説(23日)。李在明(イ・ジェミョン)大統領、初の国連演説で北との平和共存を訴える(23日)。習近平氏、新疆ウイグル自治区70周年式典に出席(25日)。米、医薬品に関税100%を10月1日から発動表明(25日)。国連安保理、対イラン制裁の再発動を阻止する中露提出の決議案否決(26日)、などです。
国連安全保障理事会は9月26日、中国とロシアが提出した、イランに対する国連制裁の再発動の阻止を目指した決議案を否決しました。これにより、対イラン制裁は米東部時間27日午後8時(日本時間28日午前9時)に復活します。
これまで国連は、イランにおける深刻な人権侵害や核開発問題を受けて2006年から10年に至るまで複数の「制裁」を課してきましたが、これにより、イランの核開発を制限する「イラン核合意」の事実上の崩壊は避けられない情勢になりました。
イラン核合意とは、2015年7月、米英仏独露中6カ国とイランが結んだ政府間合意のことです。イランが核開発縮小に応じ、米欧側は経済制裁の解除を約束したのです。
しかし米国は第1次トランプ政権時代の18年、抜け穴が多過ぎることを理由に離脱を表明。反発したイランはウラン濃縮などを加速したのです。
核兵器保有の疑惑が深まる中で、今年6月、イスラエルと米国がイランの核施設を攻撃しました。
その後、英仏独は今年8月末、イランに重大な核合意違反があったとして、国連による制裁を復活させる手続きを安保理に通知しました。
通知から30日以内に「制裁解除継続」を求める決議が成立しなければ制裁が復活する仕組みとなり、その期限が9月27日でした。
その前日の26日、制裁の再発動を阻止するロシアと中国の決議案が提出されたのですが、既述のように、否決されたのです。
制裁の復活を主導した英仏独は28日の声明で、国連加盟国に制裁を守るよう求めた上で、「制裁再発動は外交の終わりではない。イランに緊張を高める行動を控えるよう求める」と訴えています。
復活した内容は、2006年から10年の国連安全保障理事会決議に基づく制裁で、戦車や戦闘機など主要兵器や武器の禁輸、ウランの濃縮や再処理に使える物資の禁輸、弾道ミサイルの開発や発射を禁止、核関連の個人・団体の資産凍結・渡航制限、港湾や空港などでの貨物検査を強化、などです。
イランはこれまで、制裁の抜け道として、友好国との貿易でのバーター取引や石油の迂回(うかい)輸出を行ってきました。イラン当局は、強気の姿勢を崩していません。
米紙・ワシントンポストは9月26日、イランが攻撃を受けた核施設の再建を加速させていると伝えています。
また、イランの原子力庁のエスラミ長官は今月、英・スカイニュースに対して核施設再建に取り組む姿勢を強調しています。
今後イランでは、核拡散防止条約(NPT)からの離脱を求める強硬論も出てくるでしょう。イランの「友好国」であるロシアや中国、またハマスの出方などが注目されます。
トランプ政権が6月21日にイランの核施設に対するバンカーバスター攻撃を行ったこともあり、今後の動向から目が離せません。
★おすすめ関連動画★
国際勝共連合 街頭演説
「激化する諜報戦~スパイ罪なき日本が世界の混乱要因に」
ザ・インタビュー 第29回
【渡邊芳雄・国際勝共連合常任顧問に聞く(その1)「『勝共』~神を否定する共産主義に打ち勝つために】
ザ・インタビュー 第30回
【渡邊芳雄・国際勝共連合常任顧問に聞く(その2)「神と共に生きる共同体理想の実現を目指して」】
ザ・インタビュー 第31回
【渡邊芳雄・国際勝共連合常任顧問に聞く(その3)「神は私と共に生きて今ここにいらっしゃる」】
---
U-ONE TVの動画を見るにはU-ONE TVアプリが必要です!
無料ですので、ぜひダウンロードしてご活用ください。
ダウンロードはコチラから