2025.09.24 12:00

世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
自民党、前倒し総裁選がスタート
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、9月15日から22日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
イスラエル、ガザ地上作戦を開始(9月16日)。日本維新の会、スパイ防止法制定議論を開始(16日)。トランプ氏、習近平氏と電話会談~APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議時に対面会談を(19日)。金正恩(キム・ジョンウン)氏、最高人民会議演説で米朝対話に言及(21日)。自民党、前倒し総裁選を告示(22日)、などです。
石破茂首相の辞任表明を受けて、9月22日、自民党の総裁選がスタートしました。投開票は10月4日となります。
立候補者は5人で、いずれも昨年の総裁選に立候補した人たちでした。
届け出順に、小林鷹之・元経済安保相(50歳)、茂木敏充・前幹事長(69)、林芳正・官房長官(64)、高市早苗・前経済安保相(64)、小泉進次郎・農相(44)です。
選挙の方式は「フルスペック方式」で、国会議員票と全国の党員投票を合わせたものとなります。
国会議員票295票、党員・党友票295票の計590票の獲得を競います。
第1回投票で過半数を獲得する候補がいなかった場合には、上位二人での決選投票となります。
自民党は、昨年の衆院選、今年の都議選、参院選と、全て惨敗しました。その結果、衆参両院で与党過半数割れとなりました。
自民党にとって非常事態です。そのような状況下での総裁選ですから、質の高い論戦を期待したいものです。
まさに「解党的出直し」としての総裁選。初めに3連敗の原因分析から始めなければなりません。その共通認識がなければ実効性のある再建策も出てこないはずなのです。
左派政党(立憲や共産)やメディアの多くは、政治資金の不記載(「裏金」)問題や旧統一教会との関わりを、いまだに挙げています。もちろん、全く影響がないとはいいませんが、それは主因ではありません。先の参院選でこの2点はほとんど問題視されていませんでした。
衆参共に与党過半数割れに追い込まれたのは、自民を支持してきた保守層や若年層が離れ、国民民主や参政党、日本保守党などを支持し、投票したことが挙げられます。
先の参院選(7月)での自民比例代表の得票数は、3年前の参院選と比べて545万票も減らしているのです。
このたびの総裁選は、離れた保守層と若年層の支持を取り戻せる候補者は誰なのか、という点が問われています。単なる看板の架け替えでは、展望は開けないのです。
自民党は、党綱領で「日本らしい日本の確立」をうたい、自らを「保守政党」と明確に位置付けています。
今後、野党側の協力なしに政策を遂行できないのは明らかですが、野党との協議の前に固めなければならない軸があります。
それは日本人が形作ってきた伝統を尊重し、その伝統の前に謙虚になり、一切の秩序を破壊しようとする愚かな「革命」ではなく、漸進的改革を掲げる保守の価値観です。
自民党議員や党員・党友は、自民批判票の受け皿は立憲や共産ではなくなったという政治構造の一大変化を理解すべきです。
そしてこのたび選ばれる自民党総裁は、首相として、党勢問題よりはるかに大きな非常事態に対処しなければならない可能性があります。
中国は「台湾併呑(へいどん)」を狙って軍事的圧力をますます強めています。「台湾有事は日本有事」の危機が迫っているのです。
防衛問題をはっきりと語らない候補者は失格というべきです。万が一の事態においても国家国民を守り抜く首相、有事を抑止する覚悟と能力を持つリーダーが求められるのです。
憲法問題も注目しなければなりません。衆院では、改憲を支持する議員は全体の3分の2を切ってしまいました。しかし参院選では、国民民主や参政党の躍進があって維持しています。参院から憲法改正の論議を進めるべきです。
何よりも安定的な皇位継承が国の根幹です。男系継承という皇族の最重要原則を踏まえた政府報告書の実現を約束する候補者に注目していきましょう。
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