夫婦愛を育む 45
手をつないでキュッキュッ♪

ナビゲーター:橘 幸世

 私たちの教会では、礼拝で牧会者から祝祷を頂く時、夫婦は手をつなぎます。
 先日の礼拝で、夫の傍らに立って手を横に出すと、いつにも増して夫は私の手をギュッと力を込めて握ってきました。常の事とただ手をつなぐのではなく、そこに込められた思いが伝わってきて、言葉は交わさずとも、その小さな行為がとてもうれしかったです。

 ある婦人がこんなエピソードを話してくれました。
 子供たちが幼い頃、いとしい子供と手をつないで歩くひとときが本当に幸せで、その喜びを表現したい彼女は、「ママ、○○ちゃんとこうして歩くのだ~い好き」と言いながら、つないだ手をキュッキュッと時折リズムをつけて握っていたそうです。
 今子供たちは社会人となり遠くで暮らしているので、それはすっかり過去の思い出となっていましたが、幼い頃の記憶はお子さんたちの中にも残っているようです。
 先日久しぶりに帰省してくつろいでいた息子さんの手に彼女がそっと手を添えると、彼の方がキュッキュッとしてきたとのこと(顔は明後日の方を向いていたそうです)。予期せぬ記憶のよみがえりに、彼女の心はほっこりしました。

 私の娘は私と二人で歩く時、今でも手をつないでくれることが多いです。もっとも、彼女の方は半分“介護気分”で、のようですが。思いは何であれ、母としてはうれしいものです。
 
 日常の何気ない繰り返しの中にも、ちょっとしたスキンシップなどのプラスアルファ、相手へのささやかな心遣いが、穏やかな喜びや平安を与えてくれます。ひいてはお互いの愛情にもプラスとなります。

 夫の帰宅時に必ず死んだフリをしている奥さんもいますね。毎日“死に方”が違っていて、そこに投入した思い・時間・労力を考えると、ご主人は幸せな人だと思います。ご本人は戸惑っていたようですが、はた目から見たらほほ笑ましい限りで、ネット上で話題になり、ついには映画まで作られました。

 夫を毎回踊って迎える、違ったポーズで迎える、コスプレで迎えるなど、あっぱれな妻たちもいますが、忙しくてそこまでゆとりのない大半の人たちも(私を含めて)、その精神は倣いたいものです。

 神様から頂いた創造性を駆使して、さあ、日常にどんなプラスアルファを加えてみましょうか?