2025.07.08 17:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
日米関税交渉が暗礁に
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、6月30日から7月6日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
マスク氏、大規模減税の延長など盛り込む減税法案を批判(6月30日)。香港に対する国家安全維持法施行から5年(30日)。トランプ氏、日米関税協議の合意は「疑わしい」と明言(7月1日)。岩屋外相、ルビオ長官との会談で防衛力強化「日本が判断」と発言(1日)。ダライ・ラマ14世、「輪廻転生制度を継続」表明、中国の干渉拒絶(2日)。第27回参議院議員選挙が公示(3日)。トランプ減税成立へ、米下院可決(3日)。マスク氏、新党設立をXに投稿(5日)、などです。
トランプ大統領は7月1日、日本との関税協議で合意に達するのは「疑わしい」と明確に述べました。
日本には「30~35%、もしくはわれわれが決めた数字の関税を払ってもらう」と発言し、7月9日を期限とする「相互関税」の上乗せ分の一時停止に関しては延長することに否定的な見解を示したのです。
「トランプ関税」は、貿易赤字削減や製造業の国内回帰を狙って輸入品にかける追加関税をいいます。
品目別には、3月に鉄鋼とアルミニウムと4月に自動車、さらに5月には主要な自動車部品にそれぞれ25%を課しました。6月4日には、鉄鋼とアルミを2倍の50%に引き上げています。
そして大半の国・地域には一律10%の相互関税を4月にかけているのです。
日本への関税措置をまとめると、自動車・自動車部品への25%、鉄鋼・アルミニウムへの50%の追加関税と一律10%の相互関税ということになります。
トランプ氏は、「多くの国に書簡を送る」と話し、期限(7月9日)までに合意が成立しない貿易相手国に対し、関税引き上げを一方的に通告する可能性を示唆しており、日本との協議について「交渉がまとまるとは思えない。疑わしい。日本はとても強硬だ」と語っています。
一方、日本の主張は、相互関税の他に自動車や鉄鋼・アルミニウム製品への関税措置の撤廃を前提に交渉を進めているのです。
6月15日~17日に開催されたG7サミットに合わせた日米首脳会談での合意を目指すとしていましたがまとまりませんでした。
繰り返しになりますが、トランプ氏の発言のポイントは以下のとおりです。
*日本との関税交渉は合意できるかどうか疑わしい。
*30~35%、もしくはわれわれが決めた数字の関税を払ってもらう。
*日本はとても強硬だ。甘やかされている。
*米国のコメや自動車を受け入れない。
*日本との貿易交渉は非常に不公平。そんな時代は終わった。
*(貿易赤字解消のために)日本はわれわれが必要としていることをやることはできない。
ここで、トランプ氏が語る「われわれが必要としていることをやることはできない」という意味を考えてみましょう。
そこに見えてくるのは安全保障問題とのリンクです。
前述の、カナダでのG7サミットに合わせた日米首脳会談の開催を石破首相はトランプ氏との電話会談で決めましたが、複数の政権幹部によればその時、トランプ氏から米国製戦闘機・F47やF22などについて言及があったといいます。
しかし日本側は関税交渉と安全保障問題を絡めない方針を取っているのです。「われわれが必要としていること」に対応しようとしないのです。
米国は今、中国と大勝負に出ようとしているのです。猶予はありません。米国が足腰を鍛え直すのは容易ではないのです。
危機意識を抱く米国は、日本の関与を切望しています。しかしそれに応えようとしているようには見えません。
さらに日本が、中国製フェンタニルの米国流入の結節点の一つになっているのです。
石破政権の対応は間違っています。トランプ関税の目的、狙いを軽視しているのです。
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