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内村鑑三と咸錫憲 30
神を中心とする朝鮮戦争の意味

魚谷 俊輔

 韓民族選民大叙事詩修練会において、内村鑑三が近代日本の偉大なキリスト教福音主義者として紹介され、その思想が弟子である咸錫憲(ハム・ソクホン)に引き継がれていったと説明された。
 咸錫憲は文鮮明(ムン・ソンミョン)総裁が若き日に通われた五山学校で教師を務めた人物だ。そこで内村鑑三から咸錫憲に至る思想の流れを追いながらシリーズで解説したい。

 このシリーズのスピンオフとして、咸錫憲と文鮮明総裁という、二人の思想的巨人の共通点を探るシリーズの7回目である。

 今回は韓国では「6.25戦争(動乱)」と呼ばれる朝鮮戦争の意義について、咸錫憲と文総裁がどのように捉えているかを比較したい。

 日帝36年が韓民族の苦難の歴史のクライマックスかと思ったら、その次には同族相争う悲惨な戦争が起きたことに対して、咸錫憲は「歴史はますますわからなくなってくる」(『意味から見た韓国歴史』、324ページ)と正直に語っている。
 「しかし、わからないということは考えろということだ」と、彼は探求を続ける。

 マッカーサーが「この戦争は神学の争いだ」と言ったのを受けて、咸錫憲は「そうだ、これは神々の争いだ」「われわれは南北とも対立する米ソの二つの勢力につながれ、その代理戦争をしているだけだ」「二つの国は対立する二つの思想・主義を代表しているだけだ」(同、327ページ)と言う。

 「38度線は世界史の線である。アメリカ民主主義とソ連共産主義の相場を決める線である」(同、329ページ)

 「38度線はハナニム(하나님/韓国語で“神様”の意味)がこの民族を試そうとして出した試験問題である。おそらくは最後の問題であるかもしれない」(同、330301ページ)

 「この戦争が与えた大きな土産の一つは、国連の力が成長したことである」「6.25が勃発するやいなや、国連軍の力で解決することを決議し…侵略者を追い出すのに成功した」(同、334ページ)

 「この国は人類の祭壇、国連の祭壇、民族統一の祭壇となった」(同、341ページ)

 「6.25の爆撃の音は、実は新しい時代の到来を告げる音であった。…6.25が明確に証言したことは、米・ソ対立は過ちだということだ。対立では人類の問題が解決されない」(同、336ページ)

 咸錫憲は、この対立を越えてより高い第三者の道に至らねばならず、その道が「中道」であり「一(ハン)」の道であるという。

 これは文鮮明総裁が説かれた、右翼と左翼を統合する「頭翼思想」に近い発想である。

 『原理講論』もまた、韓国が38度線で引き裂かれたのは「民族的供え物」になるためであり、38度線は民主と共産の一線であると同時に、神とサタンの一線であるとしている。

 そして6.25動乱は単純な同族の抗争ではなく、民主と共産という二つの世界間の対決であり、さらには神とサタンとの対決であり、6.25動乱に国連加盟の多くの国家が動員されたのは、この動乱が復帰摂理の目的のための世界性を帯びていたからであるとしている。

 咸錫憲も文総裁も6.25動乱を直接体験した世代である。その二人は、共にこの戦争を、世界救済のために神が民族に与えた試練であると捉えている。

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 「内村鑑三と咸錫憲」は、今回が最終回です。ご愛読ありがとうございました。