世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

イスラエルとイランの報復応酬が激化

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、69日から15日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 ロシア、ウクライナに大規模攻撃(6月8~9日)。米軍、ロサンゼルスに海兵隊700人一時派遣へ(9日)。李在明(イ・ジェミョン)大統領の刑事裁判、都市開発事業に絡む不正事件も延期(10日)。台湾台北地方検察署、中国のスパイ行為に関与の疑いで元民進党員の4人を起訴(10日)。マスク氏、トランプ氏への批判「行き過ぎだった」と後悔(11日)。米、中東の一部職員退避へ、イランとの緊張高まる(11日)。イスラエルがイランへの攻撃を実施(13日)。トランプ氏、イランに「核合意」促す(13日)。イラン報復、イスラエルで3人死亡(14日)。米民主党の州議会議員らが銃撃され議員を含む2人が死亡(14日)、などです。

 イスラエル軍が613日未明、戦闘機200機で、イランの核関連施設など100カ所以上を攻撃したと発表しました。その後イランは、報復として無人機100機をイスラエルに向けて発射しています。

 両国が本土を攻撃するのは昨年4月と10月に続き3回目となりますが、核施設への攻撃は今回が初めてです。

 多くの犠牲者が出ています。イラン革命防衛隊(最高指導者ハメネイ師に直属する)のサラミ司令官やイラン軍のバゲリ参謀総長、核科学者6人が殺害されています。さらに北部テヘラン州で78人が死亡し、320人以上が負傷したと報じられています。

 イスラエル軍による攻撃の目的は、イランの核武装を阻むことです。イランはウラン濃縮活動を拡大し、数日間で核兵器級の濃縮が可能な水準に達していたのです。

 4月から始まった米国とイランの核協議は行き詰まり、国際原子力機関(IAEA)理事会は、核査察協定に反しているとして、イランを非難する決議を612日に採択しました。翌日13日、イスラエルが行動を起こしたのです。

 イスラエルによる核施設攻撃は今回が初めてではありません。近隣国の核武装を阻むため、1981年にイラク、2007年にはシリアの核施設をそれぞれ空爆した経験があります。

 なおイスラエル軍は14日、イランの石油やガスなどのエネルギー関連施設を攻撃しました。昨年4月以降のイラン攻撃でエネルギー施設が標的になったのは初めてのことです。

 イランの石油確認埋蔵量は世界有数です。今年度の国家予算の約35%を占め、税収を上回ります。
 2018年に米国が対イラン経済制裁を復活させた以降も、迂回(うかい)輸出し、生産量と石油輸出の収入は共に伸びてきました。
 イランの封じ込めに最も効果的なのは、石油関連施設の破壊であることは明らかなのです。

 日本は原油の9割を中東に依存しています。事態の悪化は、日本のエネルギー安全保障を直撃することになります。

 イランの国営放送は14日、国会の反米・保守強硬派の重鎮エスマイル・コウサリ議員の話として、ホルムズ海峡の封鎖を真剣に検討していると報じました。
 ホルムズ海峡は、世界の石油関連製品の消費量の20%が通過する石油輸出の大動脈です。封鎖されれば世界経済は大混乱に陥ることになります。

 今後の展開に目が離せません。



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