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スパイ防止法⑨
スパイ防止法に反対する理由って?

編集部編

マスコミの取材活動が制約される?
 「スパイ防止法」に対してどんな反対意見があって、実際のところはどうなのでしょうか。

 まずは、マスコミの取材活動が制約される、という批判があります。

 スパイ行為とは、不当な方法で国家機密を集めて、それを外国に通報することをいいます。

 不当な方法というのは、例えば公務員をだましたり、お金を渡したり、女性と関係を持たせたりすることをいいます。そしてほとんどの国では、有罪になると死刑になります。それぐらいの覚悟でスパイを取り締まっているということです。

 ちなみに国際勝共連合は、最高刑でも死刑ではなく無期懲役にすべきだと主張しています。

 このことを極端に考えると、例えばマスコミ関係者の取材活動はスパイ行為に当たると考えることもできます。

 マスコミが取材をして、「教えてください」と言ったら公務員がべらべらとなんでもしゃべってくれるわけではありません。それであの手この手を使ったりします。

 この「あの手この手」というのが、「不当な方法で国家機密を集めた」ということになれば、その人が死刑になってしまうのではないか、というわけです。

 でもそんなことは絶対にありません。マスコミの取材活動の自由については、すでに日本の最高裁で、どういった場合に適法であって、どうなると違法なのかということを明確に判断しています。

 具体的にいうと、取材活動が社会的に見て相当の範囲を逸脱していれば違法だというものです。

 そのような事例の一つに、西山事件があります。
 どんな事件かというと、毎日新聞の西山という男性の記者が、機密情報を持っている女性の公務員にお酒を飲ませました。そして泥酔させて性関係を持ちました。そしてそれをネタにして、情報を提供させたのです。

 マスコミ側は「報道の自由」を盾にして戦ったのですが、さすがにこれは取材活動としての範囲を超えているということで、事件は有罪になりました。

 つまり、スパイ防止法があってもなくても、逸脱した取材活動は違法です。そして不当な方法で情報を得て、その目的が外国に持ち出すことだと証明されればスパイ行為になります。証明されなければスパイ行為にはなりません。

 ですからマスコミの取材活動であっても、流出が禁じられているイージス艦情報のような国家機密を手に入れて、それを海外に持ち出して高額で売ったりすればスパイ行為です。

 マスコミであってもそんなことは許されません。報道の自由は保障されます。スパイ行為は罰せられます。いってみれば当たり前の話です。

「戦前の暗黒社会」に逆戻りする?
 次に、「戦前の暗黒社会」に逆戻りするという批判があります。共産党の常とう手段です。

 おそらく暗黒社会というのは、罪もないのに警察に逮捕されるようになる、というイメージではないかと思いますが、そんなことは絶対にあり得ません。

 まず、戦前と今とでは憲法が違います。刑事手続きを定める法律も違います。
 仮に警察が、罪もない人をわざと逮捕したら、その警察官は懲戒処分で警察官をやめさせられます。また、わざとやれば賠償金としてかなりの金額を支払うことになります。そして逮捕された人は釈放されます。そんなことをする警察官がいるでしょうか。そんな人は一人もいないでしょう。

 これらの批判は、特定秘密保護法の時と全く同じ批判です。特定秘密保護法が施行されるようになりましたが、マスコミが委縮するとか、暗黒社会になるといったことは全く起きていません。

 批判はどれも感情的なものばかりです。むしろ日本は世界有数の技術立国ですから、情報を海外に漏らさないようにする義務があるというべきでしょう。
 スパイ防止法が必要なのです。

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