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櫻井義秀氏の真実(3)

証言から浮かび上がる懐疑的な人物像

ナビゲーター:魚谷 俊輔

 家庭連合に対する批判的なスタンスを貫いている北海道大学の櫻井義秀教授が、実は若き日に教会に通ったことがあり、原理研究会のメンバーとも交流があったという「真実」を明らかにするシリーズの第3回である。

 前回は同じ北大の哲学科に所属していた千葉之夫氏の証言を紹介したが、今回はその続きである。

 彼らが在学中に一度、九州大学の松永雄二教授が北大まで来て集中講義を行ったことがあり、その時の授業を千葉氏と櫻井氏は一緒に聞いたという。
 松永教授は当時、プラトン研究の第一人者といわれていた。

 以下は千葉氏の証言である。

 「松永先生との質疑応答の中で、私はもう一つの質問をしました。

 『究極的真理は、人間の理性による論理の積み重ねによって到達できるものではなく、神の啓示によってしか到達できないと考えます。そういう意味で、理性のみを通して真理を得ようとしたこれまでの哲学は無価値なのではないでしょうか』と質問しました。

 松永先生の回答は、『哲学をばかにしてはいけない。イデア論にはプラトンの苦渋が込められている』という内容でした。

 このやりとりの次の日ぐらいに櫻井さんは明鶴館に私を訪ねてきました。
 彼は『この前のあのやりとり、あれこそまさに原理の立場とそれ以外の人の立場の違いを如実に示している。あんなふうに考えるのは原理の人だけだということは、よくよく頭に入れておいた方がいい』とだけ語り、帰っていきました。

 櫻井さんの言う『あんなふうに』というのは、おそらく「神の啓示によって真理に到達できる」という部分を指していると思います。
 私の発言が個人の考えではなく、統一原理の立場を代弁しているということは、統一原理を既に学んだ櫻井さんには分かっていたと思います。私の発言を批判する形で、統一原理を批判していたのだと思います。

 これはまた別の日のことですが、櫻井さんは明鶴館でAさん(櫻井氏のケアをしていた教会員)に、『テオドール・アドルノという哲学者を知っているか?』と質問をし、いろいろと議論していたのを私は脇で聞いていました。

 今でこそ文化共産主義のフランクフルト学派の哲学者としてアドルノのことは知っていますが、当時の私はその名前も知りませんでした。

 私が話をした頃の櫻井さんは、既に札幌教会の学生部には通わなくなっていたのではないかと思います。だからこそ、神とか、啓示とか、絶対善というような考え方に対して否定的になっていたのではないでしょうか」

 千葉氏の証言から浮かび上がってくる櫻井氏の像は、かなり懐疑的な人物である。しかし彼が初めからそうだったのかどうかは不明である。

 そこで次回は、より初期の櫻井氏を知る人物の証言を紹介する。

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