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スパイ防止法⑦
イージス艦情報漏洩事件

編集部編

ある中国人女性と自衛官
 今回は、イージス艦情報漏洩(ろうえい)事件についてお伝えします。

 どんな事件かというと、ある中国人女性が自衛隊員と結婚して、その夫を通してイージス艦の機密情報を中国に持ち出したという事件です。

 イージス艦とは、自衛隊の船舶の名称です。
 「イージス」というのは、ギリシャ神話に出てくる最高神ゼウスが与えた万能の盾の名前です。

 最先端技術が搭載された船で、飛んでくるミサイルを、360度、154発同時に捉えて追跡することができます。そしてそのミサイルを迎撃します。

 これが500キロメートル離れた所でもできます。横須賀にある船から秋田県沖を飛んでいるミサイルを正確に打ち落とすことができるということです。

 まさに「神の盾(神が与えた万能の盾)」という名前にふさわしい能力です。
 建造するための費用は1隻でだいたい2000億円弱かかります。

 もちろんイージス艦といえども弱点はあります。その弱点が知られては困るので、情報は国家の最高機密です。ところがこの情報が、中国に取られてしまったのです。

 ある時、ある中国人女性が逮捕されました。その女性は中国からの密入国を繰り返していて、日本にいる間に窃盗犯として逮捕されたこともあります。

 それで強制退去処分にあっていたのですが、再び日本に密入国して横浜の中華街で働いていました。
 そしてその時に、ある知人から紹介されて、自衛官の男性と会うようになりました。それで二人は結婚したのです。

 女性は妊娠しました。そして妊娠したことを説明すれば、日本人の国籍が手に入ると考えました。それで自分で入国管理局に行きました。

 実際はこの女性、オーバーステイ、つまりビザの更新時期が3カ月も過ぎていたという理由で逆に逮捕されてしまいました。
 それで警察が女性の家を調べていたら、自宅のパソコンからイージス艦情報が発見された、というわけなのです。

スパイ事件の闇
 もともとイージス艦はアメリカが造ったものです。ですからその情報が中国に渡れば、アメリカにとっても大変な危機です。
 それでこの事件が発覚して、アメリカもかなり怒りました。

 自衛官の夫はイージス艦の乗組員でした。ただ、エンジン担当だったので、機密情報に触れられるような立場ではありません。
 それで、どうやってこの情報を手に入れたのかを調べてみると、情報を渡したのはプログラム担当の自衛官でした。

 ここに何人かの自衛官が関わっていて、最終的には隊員3人が懲戒免職、17人が6日以上の停職処分を受けました。そして当時の海上幕僚長、つまり海上自衛隊のトップも責任を取って辞任しました。

 これだけの人数の自衛官がなぜ協力者になったのか。どれだけのお金が支払われたのか。あるいはどれだけの情報が流れてしまったのか。よく分かっていません。

 ちなみにこの女性は、事件の後に国外追放になったのですが、しばらくしてまた横浜中華街にいるのが発見されました。他人名義のパスポートを使って不法入国していたのです。

 こうしてみると、この女性は、中国の情報機関で訓練を受けたスパイなのでしょう。そして情報機関が日本で活動する拠点が、横浜中華街にあるのだろうということです。

 一般の中国人女性が、何度も不法入国を繰り返して、さらに他人のパスポートまで作って不法入国をするなんていうことは考えられません。
 そもそも結婚も仕組まれたものであって、計画的に情報を盗んだのだと思います。

 こうした事件を見ると、日本にスパイ防止法が必要であるということがよく分かると思います。

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