スマホで立ち読み Vol.38
『“人さらい”からの脱出』7

小出浩久・著

(光言社・刊『“人さらい”からの脱出 違法監禁に二年間耐え抜いた医師の証言』〈2023年11月20日改訂版第2刷発行〉より)

 スマホで立ち読み第38弾、『“人さらい”からの脱出』を毎週水曜日(予定)にお届けします。
 2年間にわたる拉致監禁後、「反統一教会グループ」の一員として活動した経験のある筆者。そんな筆者が明らかにする、「脱会説得」の恐ろしい真実とは。

 今回は、前回の続きからお届けします。

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1 15カ月間の監禁生活

一、統一教会への入信

 宮村氏らの反統一教会の勉強会における親に対する教育は、実に巧妙だった。

 拉致・監禁で脱会させた元信者を使って父兄の相談にのったり、また元信者に統一原理を信じて活動していた当時のことを、宮村氏らの意向に沿いながら「統一教会は反社会的団体であり、子供たちは悲惨な生活をしている」と親たちが信じ込むよう、次から次と証言させるのだ。拉致・監禁下で、神秘体験と内心の自由を否定されれば、それまでの信仰生活は、本質的に意味のない生活だった、騙(だま)されていたと捉えるしかない生活となる。

 そのような勉強会で一方的情報と知識とを与えられた親たちは、“子供が入っているのは反社会的団体という生易しいところではなく、悪質な犯罪者集団だった”とまで思い込むようになる。やがて深刻になった親たちは、何が何でも息子、娘たちを統一教会から脱会させなければならないという心境にまで追い込まれてゆくのである。

 母は「すがりついてでもこの人についていこうと思った。無視されたときは、本当にやる気があるか試されていると思った」と、後日私に語っている。

 宮村氏の勉強会で得た情報を真に受けた母は、宮村氏への信仰とさえ言えるような盲目的な追従をして、家族全体を巻き込み、2年近くに及ぶ監禁生活へと駆り立てられた。

 1991年ころには、母は私の脱会の手助けをするように、親戚、知人に声をかけ始めていた。

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 次回は、「拉致・監禁」をお届けします。



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