2025.05.21 22:00
スマホで立ち読み Vol.38
『“人さらい”からの脱出』6
小出浩久・著
スマホで立ち読み第38弾、『“人さらい”からの脱出』を毎週水曜日(予定)にお届けします。
2年間にわたる拉致監禁後、「反統一教会グループ」の一員として活動した経験のある筆者。そんな筆者が明らかにする、「脱会説得」の恐ろしい真実とは。
今回は、前回の続きからお届けします。
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第1章 15カ月間の監禁生活
一、統一教会への入信④
私が統一原理と出合って1年ほどした1984年ころ、両親は私を統一教会から脱会させるべく、その解決策を求めて、統一原理に対する批判書を数多く著している森山諭牧師のもとを訪ねている。森山牧師は東京の荻窪にある日本イエスキリスト教団・荻窪栄光教会の牧師であった。
そこで両親は、“反統一教会グループ”の実質的リーダーで、狂信的「改宗請負人」の宮村峻(たかし)氏と出会った。宮村氏はクリスチャンではないが、当時、森山牧師と協力して統一教会員の両親や親族らを自分の主催する勉強会で教育して拉致・監禁を促し、自ら監禁現場に赴いては脱会を強要するという、反統一教会活動を活発に行っていた。
しばらくして両親は、毎週土曜日に開かれていたその勉強会に参加し、反統一教会の立場から統一教会に対する批判的教育を受けた(1995年当時)。
しかし、父のほうはあまり熱心でなく、母も一人で勉強会に通うことに疲れを覚えはじめ、中断してしまった。
それからしばらくたって、今度は“反統一教会グループ”のほうから両親に接触があり、母は新宿のホテルで宮村氏と元統一教会員らと会うことになった。そのとき母に連絡を取ったのは、大学で私と同じサークルに顧問として所属していた、元助教授の小藤田氏であった。小藤田氏はすでに統一教会員の自分の息子を監禁して説得し、脱会させることに成功していた。その小藤田氏に監禁、脱会を指導したのは、他ならぬ宮村氏であったという。
母はホテルで小藤田氏から「息子さんを統一教会から脱会させるように頑張ったほうがよい。私たちもできるかぎり協力する」という主旨のことを言われ、私に対する脱会活動を積極的にするように勧められたようだ。
母は大学の元助教授から持ちかけられたこともあって、そのとき息子のために頑張ろうと心に誓ったのであろう。やがて母ばかりか、父、姉、弟もそれに同調するようになり、宮村氏が主催する勉強会に再び足を向けるようになった。この勉強会に通う中で、母や姉は宮村氏や元信者との関係を深めていったのである。
(続く)
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次回は、「統一教会への入信⑤」をお届けします。