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内村鑑三と咸錫憲 24
文鮮明総裁と咸錫憲の思想的共通点

魚谷 俊輔

 韓民族選民大叙事詩修練会において、内村鑑三が近代日本の偉大なキリスト教福音主義者として紹介され、その思想が弟子である咸錫憲(ハム・ソクホン)に引き継がれていったと説明された。
 咸錫憲は文鮮明(ムン・ソンミョン)総裁が若き日に通われた五山学校で教師を務めた人物だ。そこで内村鑑三から咸錫憲に至る思想の流れを追いながらシリーズで解説したい。

 前回までに明らかにしたように、咸錫憲が文鮮明総裁と良き出会いをしたとか、文総裁を受け入れたという記録は存在せず、むしろ文総裁の証言によれば、彼は統一教会に反対する姿勢を示していたらしい。

 にもかかわらず、咸錫憲の思想には文鮮明総裁が説かれた統一原理に相通じる内容が非常に多い。
 そこで今回から、この二人の思想的巨人の共通点を探っていくことにする。

 第一の共通点は、終末論的な時代認識である。咸錫憲は以下のように語る。

 「今は過去の世界観がほとんど解体されてしまい、新しいものはその大要をもとらえていない時代である。普遍的世界思想の欠乏、これが現代が被る悲惨の原因である」(『意味から見た韓国歴史』、19ページ)

 「これが、歴史の新しい章の題である。今やすべての人類の息子らを、今日まで互いに敵のように争い、殺し合ったすべての民族・国家・人種・教徒・主義者を総動員して一つの戦線に立たせ、あらゆる矛盾、あらゆる浪費、あらゆる誤解をみんなで投げ捨て、新しい建設的な統一へと向かわせなければならない」(同、1920ページ)

 「ところがそれは世界歴史の新しい解釈によらなければできない。同じ先祖を早く発見し、同じ兄弟であることがわかれば争いをやめる」(同、20ページ)

 「新しい宗教・一つの宗教、真の宗教が必要である」(同、20ページ)

 「既成宗教はそのまま化石となって歴史の地層の中に埋もれてしまうだろう」(同、20ページ)

 「釈迦とかイエスのような偉大な宗教の師は、皆その時代の制度を全的に打ち破って現われた革命家たちであった」(同、2021ページ)

 「新しいプロテスタントが出なければならない。ふたたび宗教改革が行われなければならない。」(同22ページ)

 『原理講論』も、古い歴史の終末期は同時に新しい歴史の創始期であるため、内的には理念と思想の欠乏によって、不安と恐怖と混沌の中に落ち込むようになると説いている。

 そして終末時代が対立と闘争の歴史に終止符を打ち、あらゆる主義や思想が統一される時代であると捉えている点も同じである。

 『原理講論』の説く理想世界は、真の父母が立つことにより、人類が皆、兄弟姉妹として平和に暮らす世界である。そして、再臨主・真の父母の下に全ての宗教が統一されなければならないと説いている点も非常によく似ている。

 そしてこうした革命的な思想は、その時代に対しては対立的なものとして現れるため、因習的な観念にとらわれてはならないと説き、第3次宗教改革が起こらなければならないと予言している。

 同じ時代を生きた文鮮明総裁と咸錫憲は、共に人類歴史が終末期に入っていることを直感し、来るべき世界のビジョンを見ていたと思われる。