スマホで立ち読み Vol.36
『こども礼拝』14

林三男・著

(光言社・刊『こども礼拝 親と子のための説教集』〈200549日初版発行より)

 スマホで立ち読み第36弾、『こども礼拝』を毎週日曜日(予定)にお届けします。
 「光の子園」での礼拝説教をまとめた、幼児から小学生低学年向きの説教集です。小学生礼拝のテキストとしても最適です!

※本文中の呼称・用語は、全て掲載当時の名称です。

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13. パロの前に立つモーセ

〈ポイント〉
①モーセとイスラエルの民を愛し、エジプトから救い出そうとされる神様の心情を知る。
②かたくなな心、頑固(がんこ)な心、傲慢(ごうまん)な心ではなく、素直な心を神様は喜ばれる。
③神様の願いを貫(つらぬ)き通すモーセの信仰を学ぶ。

〈聖書:出エジプト記第4章~12章参照〉

モーセは、神と共にあってパロの前に立った
 今日は、「パロの前に立つモーセ」のお話をしましょう。モーセは、ホレブの山で「イスラエルの民をエジプトから救い出しなさい」という神様の声を聞きました。

 その時、モーセは「しかし、もしイスラエルの民がわたしを信じなかったらどうしましょう」と尋ねました。すると神様は「あなたに不思議な力を与えよう」と言って三つの力を与えてくださいました。一つは、モーセの持っている杖を蛇に変えたり元(もと)に戻したりする力です。二つめは、手を懐に入れてらい病(皮膚〈ひふ〉が白くなる病気)にしたり、もう一度入れたら元に戻るという力です。三つめは、ナイル川の水を血に変える力です。この三つの不思議な力を見たら、モーセには神様が共にいることが分かるはずだとおっしゃいました。さらに、モーセは話すのが苦手(にがて)なのでほかの人をエジプトに遣わしてくださいと言うと、神様は、話すのが上手なお兄さんのアロンと一緒に行くように言われました。

 さて、モーセとアロンはエジプトに行き、イスラエルの長老たちに会いました。神様がモーセに言われた言葉を話し、不思議な力を見せました。人々はモーセを信じ、神様がイスラエルの民を忘れずその苦しみを知っておられると聞いて、感謝し礼拝しました。それから、モーセとアロンはエジプトの王パロの前に立ち、「わたしの民を去らせ、荒野で、わたしのために祭をさせなさい」という神様の言葉を伝えました。民を去らせたら、エジプトで働く人がいなくなるということです。そんなことになったら大変だと、パロは思いました。パロは、「わたしは神を知らない。民をもっともっと働かせるのだ」と言って、イスラエルの民にもっと厳しい仕事を与えました。それでイスラエルの民は、モーセとアロンに文句を言いました。モーセは「神様、どうして民をこんなひどいめに遭(あ)わされるのですか?」と神様に尋(たず)ねました。神様は、モーセに勇気を与えました。「わたしは神である。アブラハム、イサク、ヤコブに約束したようにあなたがたを導き出し、カナンの地に入(はい)らせるであろう。そして、その地をあなたがたの子孫に与えよう。わたしはあなたがたの神である。わたしがエジプトびとからあなたがたを導き出すあなたがたの神であることをあなたがたに知らせるであろう」と。この言葉をモーセは民に伝えましたが、心も体も疲れきった民は、聞き入れませんでした。

 さらに、モーセが神様に祈ると「あなたを神様のようにしよう。だから、パロの前に行って、はっきりと民をエジプトから去らせるように言いなさい。エジプトびとはわたしが神であることを知るであろう」と励まされました。

 モーセは神様が共にあることを知って力が出ました。モーセは80歳でしたが、神と共にあって堂々とパロの前に立ちました。そして、神様の不思議な力を見せました。アロンが杖を投げると蛇に変わりました。しかし、パロも魔術師を連れて来て同じようにしました。すると、アロンの蛇が魔術師の蛇をのみ尽くしました。それでもパロの心はかたくなで、神様の力を認めませんでした。パロがなかなかモーセの言うことを聞かなかったので、神様の怒りがエジプトに下りました。

▲相手の蛇をのみつくす

エジプトに下された十災禍(さいか)によってパロのかたくなな心が解かれた
 なんと、10回にわたって大変な災害がエジプトに起こりました。第1は、ナイル川の水が血に変わりました。川の魚は死に、川は臭くなり、エジプトびとは川の水を飲むことができなくなりました。第2は、蛙の大群が町中にあふれました。パロは困ってモーセを呼び「明日イスラエルの民を去らせましょう。だから、蛙を取り除いてください」と頼みました。蛙がいなくなると、またパロの心はかたくなになり、民を去らせませんでした。

▲ナイル川の水を血に変える

 それで、第3は、ぶよの大群がやってきて体の血を吸いました。第4は、あぶの大群でした。パロはモーセを呼んで、「荒野に行っても良いが、あまり遠くへ行かず、わたしのために祈願しなさい」と言いました。それで、神様はあぶの大群を取り去られました。しかし、パロの心はまたかたくなになり、民を去らせませんでした。第5は、牛や馬などの家畜が疫(えき)病で死んでしまいました。第6は、うみの出る腫(は)れ物が人間や家畜を襲(おそ)いました。

 第7は、エジプトの地に雹(ひょう/氷の小さなかたまり)が降りました。そこで、パロはモーセを呼んで「わたしが悪かった。あなたがたを去らせます」と言いましたが、雹が降りやむと、またパロの心はかたくなになりました。そのようなパロに対して、モーセとアロンは命懸けで心を込めて神の言葉を語りました。「いつまであなたはわたしの言う事を聞かないのですか? 民を去らせなければ、明日いなごの大群がエジプトを襲うでしょう」。それを聞いたパロの家来が「もうイスラエルの民を去らせてください。そうしないと、エジプトが滅びてしまいます」と訴えました。やっとそこでパロの心が少し動きました。「仕方ないから男の人だけ去らせる」とパロは言いました。モーセは「すべての民を去らせて欲しい」とパロに訴えましたが、パロは聞かなかったので、いなごの大群が町を襲いました。これが、第8の災害でした。パロが悔い改めたのでいなごを追い払いました。ところが、またしてもパロは心をかたくなにしました。そして、第9は、3日間暗闇(くらやみ)が襲うというものでした。それでもパロの心は変わりませんでした。

▲エジプトの地に雹が降る

 そこで、最後10番めにエジプトびとのういご(一番初めに生まれた子供)が死ぬという大変なことが起こりました。それで、やっとパロはモーセの言葉を聞き、イスラエルの民をエジプトから去らせることを約束しました。この間、大変な災いが起こったのはエジプトの地だけで、神様に守られたイスラエルの民の上には何事も起こりませんでした。イスラエルの民は、神様がエジプトから救い出してくださることを、モーセとパロの戦いを見て知ることができました。そして、神様に感謝しました。

 このように、パロが神様の願いを聞かなかったので神様は怒られ、エジプトの地を打たれました。10回の災害にあって、やっとパロは神様の力を知りました。1回の災害でパロが心を素直にして神様の言葉に従えばよかったのですが、あまりにもパロの心は頑固でかたくなであったわけです。

 パロのようなかたくなで頑固な心ではなく、素直に神の言葉に聞き従うことのできる皆さんになってください。そして、モーセのように一生懸命に神様のみ言(ことば)を宣(の)べ伝える人になりましょう。

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 次回は、「出エジプト」をお届けします。



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