2025.05.11 13:00
スマホで立ち読み Vol.36
『こども礼拝』13
林三男・著
スマホで立ち読み第36弾、『こども礼拝』を毎週日曜日(予定)にお届けします。
「光の子園」での礼拝説教をまとめた、幼児から小学生低学年向きの説教集です。小学生礼拝のテキストとしても最適です!
※本文中の呼称・用語は、全て掲載当時の名称です。
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12. モーセ
〈ポイント〉
①お母さんの信仰により、生命を守られ、選民としての教育をうけたモーセ。
②王子の地位を捨て、イスラエル民族の一員として誇(ほこ)りをもったモーセ。
③イスラエル民族の苦しみを知る中で、神と出会い、出エジプトの命令を受けるモーセ。
〈聖書:出エジプト記第1章~3章参照〉
モーセはエジプトの宮殿で王子として育った
今日は、「モーセ」のお話をしましょう。エジプトにやってきたヤコブの12人の息子たちから、イスラエル民族が出発していきました。エジプトの総理大臣になったヨセフが生きている間、イスラエル民族は豊かな生活ができました。
ところが、ヨセフが死んでからしばらくすると、ヨセフを知らない王様になりました。イスラエルの民は、ピラミッドを造るための重い石を運んだり、れんがを作ったりする、とてもつらい仕事をさせられるようになりました。けれどもイスラエルの民は、神様から愛され祝福されていましたから、痛めつけられれば痛めつけられるほど強くなり、生み増えていきました。どのような時にも、神が共にいてくださるという確信をもっていましたので、このような苦しみを越えていくことができました。
エジプトの王様(パロ)は、このままイスラエル民族が増えると、エジプト人より強くなってしまうのではないかと恐れて、一つの命令を下しました。「もし男の子が生まれたならば、みなナイル川に投げ込め」というのです。生まれた男の赤ちゃんをみんな殺してしまえということでした。イスラエル民族はこんな中で、いつも神様に「早く救ってください」と祈り続けていました。
ある時、イスラエル民族のレビびとの中に1人の男の子が生まれました。その赤ちゃんがあまりにもかわいらしく賢そうで、その姿格好(すがたかっこう)を見ただけで喜びに満たされるような素晴らしい赤ちゃんだったので、お母さんはその赤ちゃんを殺すことができませんでした。ナイル川に投げ込むなんて、とても考えられませんでした。3カ月たって、もう隠しておくことができなくなってしまった時、お母さんは神様に祈って一つの方法を考えました。カゴに赤ちゃんを入れて、ナイル川の岸の葦(あし)の茂(しげ)みの中においたのです。
すると、たまたまナイル川で水浴びするために川に降りてきたエジプトの1人の王女様がこのカゴの中の赤ちゃんを見つけました。あまりにもかわいくてりりしい赤ちゃんでしたので、王女様はその子がイスラエル人の子供だと分かりましたが、拾い上げ、自分の子供として育てようと決心しました。赤ちゃんがどうされるかと心配して遠くから見ていた、お姉さんのミリアムが「赤ちゃんを育てる乳母(うば)を連れてきましょう」と言って、本当のお母さんを連れてきました。
赤ちゃんはモーセと名付けられ、本当のお母さんに育てられました。お母さんからお乳をもらいながら、神様のお話を聞きました。アブラハム、イサク、ヤコブのこと、イスラエル民族は神様の祝福を受け選ばれた神の民であることを聞きました。それと同時にエジプトの宮殿でモーセは王子として育てられました。そして、心も体もたのもしく成長し、軍隊をひきつれて指揮(しき)するほどの立派な人になっていきました。
モーセは、燃えるシバの中で神と出会いイスラエル民族を救う決意をした
モーセが40歳になった時、一つの事件が起こりました。イスラエルの民がエジプト人に鞭打(むちう)たれながら苦しい仕事をしているのです。モーセは同じイスラエル民族の仲間がエジプト人から鞭打たれて苦しんでいる姿を見ることは、我慢(がまん)できませんでした。それで、イスラエルの民を痛めつけている役人を打ち倒し、殺してしまったのです。エジプト人を殺したことを聞いたパロは怒り、モーセを殺そうとしました。それで、モーセはミデヤンの荒野に逃げていかなければならなくなりました。
モーセはミデヤンの荒野で羊飼いの仕事をしました。けれどもこの間、エジプトではたくさんのイスラエル民族が奴隷としていじめられて、嘆き悲しんでいました。そして、その声が神様に届いたのでした。
モーセが80歳になった時です。神様は、アブラハム、イサク、ヤコブに約束されたカナンの地へ、イスラエル民族を導こうとされました。神様はモーセを呼びました。羊飼いの仕事をしていたモーセは、神の山ホレブで、シバの燃える炎の中で、神様の声を聞きました。シバは火に燃えているのに、なくなりませんでした。「モーセよ。私は、アブラハム、イサク、ヤコブの神である。私はエジプトにいる人たちの泣き叫ぶ声を聞いた。約束の地カナンへ導こう。パロの所に行って、民をエジプトから導き出そう」。「エジプトの王はあなたたちを行かせまいとするだろう。それで、さまざまな不思議と災いをもってエジプトを打とう。その後に、パロはあなたたちを去らせるであろう」と言われました。神様はいつもモーセと共にあることを強く言われました。どのような時にもモーセを励まそうと力を与えられました。
このようにモーセは、400年間エジプトで苦しんでいたイスラエルの民をエジプトから引き連れて行く大きな神様の願いを果たしていきます。
神様は赤ちゃんのモーセの命を救い、そうして、イスラエル民族を救い出すために、モーセをずーっと訓練してこられたのでした。モーセは神様の願いを受けて、神様とイスラエル民族と共に歩んで行きます。
今日のお話を通して、神様がモーセを立てて、エジプトの地で苦しんでいたイスラエルの人々を救おうとされた神様の心を知る者となりましょう。
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次回は、「パロの前に立つモーセ」をお届けします。