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ダーウィニズムを超えて 111

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第八章 宇宙の統一原理に向けて

(五)人間原理、万物理論、新しい統一原理

(8)統一思想の見解
 弱い人間原理、ひも理論の人間原理的ランドスケープは、マルチバースに通じているが、それによれば、我々の宇宙のほかに、人間が全く観察できず、認識できない宇宙が無限にあるということになる。しかし人間は宇宙万物の主管主、主人公であるという統一思想の観点から見て、そのような宇宙を神は創造なされないのであり、マルチバース説は誤りであると言わざるをえない。

 万物理論を目指している、ひも理論は根本的な数学的原理を見つけて、それでもってすべての法則や数値を説明しようとしている。しかし数学的な法則や数値は宇宙創造の設計図、デザインの作成に必要とされるものであって、創造主なる神の創造目的——神は愛と喜びのために人間と宇宙を創られたのであり、宇宙は人間のためにあるということ——、そして創造原理——神が宇宙を創造された際に用いられた数理、数式——を理解することによって、初めて法則や数値の意味が理解できるのである。

 神の創造目的、創造原理に適う立場から、ひも理論、人間原理、標準理論の試みが再考され、修正されて、宇宙の統一原理が構築されることが今願われているのである。

 ニール・トゥロックは、「そろそろ物理学者たちは、抽象的な数学モデルにしろ、データに合うように作り上げた間に合わせのモデルにしろ、不自然なモデルをでっちあげるのはやめて、新しい統一原理を探求すべきときではないかと思う(*76)」と言う。そして彼は、人間の知性が知的のみならず、心的に(霊的に)高まるときに、宇宙論の新たな飛躍、ブレークスルーがもたらされるであろうと、期待しているのである。

 今こそ科学を人間性に結びつけ、両方の目標を高く掲げるべきときだ。私たちが知性を心に結びつけさえすれば、より明るい未来への扉が大きく開かれる。その未来とは、地球がより全一的になり、より全一的な科学が行われ、量子技術が私たちの知覚を伸張してくれて、さまざまなブレークスルーにより、エネルギーへのアクセスと利用がより賢明な方法で行われるようになり、誰もが宇宙旅行に行けて、そこから新しい世界が広がる、そんな姿をしているはずだ。生きているとはなんと恵まれた特権だろう。私たちはまさしく、かつてないすばらしい機会に直面しているのだ(*77)。

 「光速の壁を越えられない」というアインシュタインの相対性理論があるために、現代の科学の基準では、太陽系を超えていく宇宙旅行はほとんど不可能である。しかし、神は人間を宇宙万物の主管主として創造されたのだから、人間が心霊的に高まるとき、神は第2、第3のアインシュタインのような人物を立てて、人類が太陽系を超えて宇宙へ飛び出す道へと導いてくださることが期待されるのである。


*76 ニール・トゥロック、村田三知世訳『ここまでわかった宇宙の謎』日経BP社、2015年、236頁。
*77 同上、304

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 次回は、「科学時代における神の再発見」をお届けします。


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