2025.05.13 17:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
第267代ローマ教皇に米国出身プレボスト枢機卿が選出
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、5月5日から11日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
係争地のパキスタン側にインドが報復攻撃(5月7日)。新しいローマ教皇を選出、新教皇は「レオ14世」(8日)。中露首脳が会談、結束強化を確認へ(8日)。米欧がロシア・ウクライナの30日停戦案を最終調整(9日)。「印パが停戦合意」とトランプ米大統領が投稿(10日)。トランプ大統領「重大発表」、薬価引き下げの大統領令に署名(12日)、などです。
5月7日午後4時(日本時間、7日午後11時半過ぎ)、70カ国から133人の枢機卿が参加する教皇選挙(コンクラーベ)が開始されました。
コンクラーベとは、ラテン語で「鍵をかけて」の意味です。13世紀、教皇不在が3年間続いた際に行ったことが始まりとされています。
参加した枢機卿は、欧州52人、アジア・オセアニア27人、中南米21人、アフリカ17人、北米16人で、参加者の中で、3分の2の得票者が新教皇となります。
決定したのは投票2日目、8日午後でした。
システィーナ礼拝堂の煙突から午後6時(日本時間、9日午前1時)過ぎ、教皇選出を示す白い煙が出たのです。
新しい教皇は、米国シカゴ出身のロバート・フランシス・プレボスト枢機卿(69歳、枢機卿になって2年)でした。
教皇名は「レオ14世」。第267代教皇です。なお、米国出身の教皇は初めてのことでした。
教皇レオ14世は、選出から約1時間後にバルコニーに立ち、「あなたがたに平和がありますように」「対話と出会いを通して、橋を架けましょう」と呼びかけました。
トランプ大統領は、「大きな栄誉」であるとXに書き込み、「米国にとって大きな喜びであり栄誉だ。教皇レオ14世に会えることを楽しみにしている。とても有意義な機会となるだろう」と投稿しています。
さらに、2019年にカトリックに改宗したバンス副大統領はXで、「米国人初の教皇レオ14世の選出をお祝いいたします。米国の何百万人ものカトリック信者と他のキリスト教徒が教会を導く仕事の成功をお祈りするでしょう。神のご加護を!」と投稿しました。
プレボスト枢機卿はイリノイ州シカゴ生まれで、ペンシルベニア州ビラノバ大学で数学と哲学を学んだ後、聖職に就きました。
1985年、南米ペルーに宣教のために派遣され、2015年から2023年まで、ペルーのチクラヨ司教を務めています。
バチカンの重要職である司教省長官に就いたのは2年前であり、その時枢機卿に任命されたのです。
プレボスト氏は、同性カップルへの祝福の是非など教会内で論議の分かれる問題では発言しませんでした。教会の結束を重んじてきたからなのでしょう。
女性の助祭起用には消極的だったといいます。
一方で、今年2月、バンス副大統領がキリスト教の信仰を引き合いに出して不法移民の大量送還を正当化した際、Xでバンス氏の発言を批判する記事を引用したことがありました。
教皇レオ14世にとっての難問は中国問題です。前教皇は中国との和解を目指し、2018年、バチカンはそれまで断交中の中国と司教任命権を巡って暫定協定を結んだのです。
しかしこれまで、3度合意を延長しています。新教皇は今後も合意を更新するのか否かの決定を迫られることになるでしょう。
そしてバチカンは西欧で唯一、台湾と外交関係を持つ国です。
国連に加盟はしていませんが、独立国家です。バチカンの対中接近は、東アジアの地政学的バランスに大きく関わることになります。
当初、前教皇フランシスコの下で国務長官を務めたピエトロ・パロリン枢機卿(70)が次の教皇候補として有力視されていました。
最初の投票ではパロリン氏に多数の票が集まったといいます。
しかし中国との関係改善を進めた外交姿勢に対する懸念から、根強い保守派などの支持が固まらず、候補が入れ替わったといわれているのです。
米国、中国との関係など、これからの新教皇の動向に注目が集まっています。
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