2025.05.02 17:00
青少年事情と教育を考える 291
スマホの長時間使用で孤独感増す
ナビゲーター:中田 孝誠
スマートフォンの使用時間が長いほど、孤独を感じやすい——。
内閣府がこのほど発表した「人々のつながりに関する基礎調査」で、このような傾向が明らかになりました。
この調査は、孤独や孤立の実態を把握するために、昨年12月、全国の16歳以上の男女2万人を対象に行われたものです。
それによると、孤独感が「しばしばある・常にある」という人は4.3%、「時々ある」は15.4%、「たまにある」が19.6%で、4割の人が孤独を感じることがあると答えています。この数字は前年の調査から大きくは変わっていません。
年齢別では20代、30代、50代が目立ちます。20代は、孤独感が「しばしばある・常にある」が7.4%で、「時々ある」「たまにある」を合わせると43.2%。30代は「しばしば・常に」が6.0%、合わせて42.9%でした。また、50代は合わせて44.8%です。
調査では、家族や友人との直接のコミュニケーション、相談相手・気軽に話せる相手の有無、配偶者の有無、健康状態や経済面などの影響を個別に聞いています。
この中に、スマホの使用時間(画面を見る時間)との関連を聞いた項目があります。
スマホを使用している人の平均では、孤独感が「しばしばある・常にある」が4.3%で、「時々」「たまに」と合わせて39.3%が孤独を感じることがあると答えています。特に1日5時間以上使う人は割合が高くなり(5時間以上6時間未満で45.5%)、8時間以上になると「しばしば・常に」が13.3%など、半数以上の53.1%が孤独を感じることがあると答えています。
なぜスマホの使用時間が長いと孤独感が増すのか。
これについては、理化学研究所などの研究チームが、若者にソーシャルメディアが与える影響を調査した結果を、昨年12月に公表しています。
これによると、一対多数のオンラインコミュニケーションでは孤独感を増加させる一方、一対一の場合は幸福感を増加させていました。
また、SNSやアプリの利用時間が長くなるほど、対面でのコミュニケーションの時間を減少させ、精神的健康に悪影響を与えていると分析しています。
つまり対面のコミュニケーションが減ると孤独感が増幅するというわけです。
もちろん、孤独を感じる要因は上記のようにさまざまあります。
スマホに依存するような状態にならないよう配慮しつつ、まずは家庭などでコミュニケーションを大切にすることが重要だといえそうです。