2025.05.01 22:00
「メディア」を考える 3
『グラフ新天地』2003年6月号に掲載された特集記事を、編集部が再編集してお届けします。
「自由」を守る言論に
真実を報道。権力乱用、全体主義、不正との闘い
「健全な報道」のために必要な「言論の自由」
人間は本性的に自由を求め、自由の中で「真実」や「善」「美」の価値を求めて生きようとします。同様にメディアが健全な役割を果たすためにも、「言論の自由」が不可欠です。自由な環境があって初めて、真実を追求して報道し、権力の乱用や腐敗を告発したり、 不正を正したりすることができます。
すなわち「社会の良心」として、健全な社会育成のために貢献するというメディア本来の役割を果たしていくことができます。
自由を求めるのは人間の本性です。従ってメディアには、自由を守るという役割があります。
2003年のイラク問題の際、サダム・フセイン政権の旧独裁体制下では、全体主義の中で、国民の自由、報道の自由が抑圧されていました。その時のイラクでの主要なメディアは、独裁政権の統制下にあったものです。その独裁体制崩壊後のイラクでは、「報道の自由」の下で次々と独立紙が誕生しました。
しかし北朝鮮や中国に代表される共産主義国などでは、一党独裁体制が続く今も国民の自由が抑圧されています。当然、言論の自由もなく、現在行われている報道も当局の統制下にあり、偏ったものとなっています。
かつて20世紀後半、全世界的に自由を脅かす問題として人類が直面したのが国際共産主義の問題でした。無神論的思想に立脚した共産主義世界では、神の存在を認めない上に人間の尊厳性も尊重しないため、人々の自由、人権、財産も保障されない抑圧された社会となり、言論の自由もありませんでした。
1991年12月に共産世界の主軸となったソ連が崩壊するまで、世界を二分した共産世界と自由世界が鋭く対立した冷戦時代において、自由世界のメディアには、世界的立場で自由世界を守る役割がありました。そのために共産世界の悲惨な実態とその虚構性、世界共産化の野望とその戦略を白日の下にさらすことで、自由世界を目覚めさせる必要があったのです。
メディアの在り方を求める世界言論人会議
真の世界平和実現を求める統一運動の言論分野では、「表現の自由なき世界には言論の自由を求め、言論の自由のある世界では責任と道徳性を備えた言論を求める」という文鮮明(ムン・ソンミョン)先生の提唱を受けて、1978年、良識ある世界の言論人やメディア関係者によって構成される「世界言論人協会」(WMA)が創設されました。
そして毎年のように「世界言論人会議」(WMC)を開催することで、言論の責任、言論の公正性、真の言論像の確立、言論人同士の情報共有、世界平和に寄与する方法など、言論の正しいあり方を一貫して論議してきました。また一方においては、「Fact Finding Tour」 (事実調査旅行)を実施して、世界の重要地点の現地調査を行い、世界的な懸案に対する正確な取材報道の機会を提供しました。
東西冷戦下の1990年4月、第11回世界言論人会議が、共産圏で初めてソ連のモスクワで開催されました。米ソ間で双方の核ミサイルによる東西対立の緊張が続く中で開かれた同会議では、日米欧から約300人、ソ連からも約300人のメディア関係者が参加し、「地球的規模の通信と協力の促進」をテーマに討議が行われました。
言論統制が行われていたソ連のメディア関係者が、報道の自由と情報公開(グラスノスチ)の推進役となるための重要な会議となり、その後のソ連解放につながっていきました。またこの時、文先生とソ連のゴルバチョフ大統領(当時)との単独会談が実現し、その後の共産帝国ソ連の平和的な終焉(しゅうえん)に寄与する機会となったのです。
メディアに対する文鮮明先生のメッセージ
社会を善導するメディアに
●言論には平和世界実現の使命がある
全世界と人類が神様の摂理の中で、究極の真の平和世界を指向していくこの時、言論は、神様から召された平和世界実現の使命があることを知らなければなりません。
言論は、平和を熱望する他のあらゆる努力と連合して、地球村時代の大家族理想を実現するために、その強大な影響力を行使し、真なる平和道徳世界実現の主役となり、勇敢で大胆に前進しなければなりません。
闘争に満ち、イデオロギーの異なる世界で、私たちが平和に生きるか戦争に巻き込まれるかを決定する上で、メディアは大きな役割を果たします。
私の究極的な目標と願いは、真の価値体系に基づく恒久平和の実現です。この目標の達成は、軍事力よりもメディアの働きによるところがはるかに大きいと思います。
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次回は、「家庭倫理、道徳性を高める言論に」をお届けします。