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シリーズ・「宗教」を読み解く 362
母なるものを慕い求めて⑥
従順な乙女

ナビゲーター:石丸 志信

 福音書に記された聖母の姿は、ナザレの篤実な乙女として登場する。
 彼女は御使(みつか)いのお告げを受けて、「聖霊によって」神の独り子イエスを身ごもることになる。久しく待ち望んだメシヤ誕生の時を告げる神の御業(みわざ)として、クリスマスの頃には必ず思い起こされる出来事だ。

 美しく記憶された物語の背後には、現実のマリアが生々しい命懸けの歩みをしていたことを見逃してはいけない。
 その時代、ユダヤ人の中でも最も信仰深い家庭に育った清き乙女が、律法において最も忌避されるべき道を通過しなければ、実際のところメシヤをこの地に迎えることができなかった。
 自らの体面も忘れて、大胆な道を歩めたのも、サラ、リベカ、ラケルとレア、タマルといったイスラエルの母なるものたちの、壮絶な信仰と生活を思い起こすことができたからかもしれない。

 「わたしは主のはしためです。お言葉どおりこの身に成りますように」(ルカによる福音書 第1章38節)

 マリアは、驚くべき神様の業が、自らを通して実現することを素直に受け入れた。
 死の道を越えて勝利したマリアに、父母なる神も同情せざるを得なかったのだろう。時が来るまでは、彼女がたどった生々しい歩みはベールに包み隠されていた。

 2000年前、確かに神の独り子、救い主なるかたが地上に降誕した。イスラエル民族を通して人類が長く待ち望んだメシヤの誕生にマリアが貢献したことは間違いない。彼女の信仰なくして起こり得なかった神の御業がある。

 イエスの誕生したその夜、ベツレヘムの野で使いたちの知らせを受けた羊飼いたちが、幼子を拝みに来た時、マリアはその話に驚き「これらの事をことごとく心に留めて、思いめぐらしていた」(同、第2章19節)という。

 マリアは、ユダヤの伝統に従い、幼子を連れてエルサレムの神殿に詣でた時、霊に満ちた老人シメオンの言葉を聞く。

 この老人は幼子を見るやいなや喜びに満たされ、「あなたの救を見た」と叫び、「異邦人を照す啓示の光、み民イスラエルの栄光」だと証している。(同、第2章30~32節

 さらに続けて、「ごらんなさい、この幼な子は、イスラエルの多くの人を倒れさせたり立ちあがらせたりするために、また反対を受けるしるしとして、定められています。—そして、あなた自身もつるぎで胸を刺し貫かれるでしょう」(同、第2章34~35節)と付け加えた。また女預言者アンナも幼子のことを証している。

 幼子がいかなるおかたであるかを知らせる多くの預言がマリアのもとには届けられていた。



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