2025.04.20 13:00
スマホで立ち読み Vol.36
『こども礼拝』10
林三男・著
スマホで立ち読み第36弾、『こども礼拝』を毎週日曜日(予定)にお届けします。
「光の子園」での礼拝説教をまとめた、幼児から小学生低学年向きの説教集です。小学生礼拝のテキストとしても最適です!
※本文中の呼称・用語は、全て掲載当時の名称です。
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9. アブラハムとひとり子イサク
〈ポイント〉
①最愛のひとり子をさえ惜しまずに、神の前にささげきったアブラハムの絶対的信仰と従順を学ぶ。
②お父さんを愛し、尊敬し、神様のことばに従順に従ったイサクの信仰を学ぶ。
〈聖書:創世記第21章~22章参照〉
神様に祝福されて、ひとり子イサクが誕生した
今日は、「アブラハムとひとり子イサク」のお話をしましょう。アブラハムとサラは、年老(としお)いてしまいました。しかし、2人には子供がいなかったので、子供を与えてくださいと、神様に祈っていました。
ソドムとゴモラが火によって滅ぼされる前に、3人の御使(みつかい)がアブラハムの所に来ましたが、その時に「来年の春に男の子が生まれているでしょう」とうれしい知らせをもってきました。神様の約束どおり、春になって1人の男の子が生まれました。アブラハムは、その子の名前をイサクと名付けました。そして、イサクは、お父さんとお母さんのもとですくすくと成長していきました。
イサクは小さい時から、神様を愛しているお父さん、お母さんの姿を見ながら育ちました。神様のこと、供え物をして礼拝すること、お祈りすることなどを、アブラハムはイサクに教えました。アブラハムが人に親切にしたり、お祈りしたりしている姿を見ながら、イサクはお父さんを心から愛し、尊敬しました。自分もお父さんのようになりたいと思いました。
アブラハムとサラ、そしてイサクは、とても幸福に暮らしていました。ところが、ある日、神様はアブラハムを呼ばれました。「アブラハムよ」。アブラハムは「ここにおります」と答えました。「あなたの子、あなたの愛するひとり子イサクを連れてモリヤの地に行き、彼を燔祭(はんさい)としてささげなさい」と言われました。燔祭というのは動物を焼いて神様にお供えするということですから、イサクをそのようにしなさいというのが神様の命令でした。アブラハムは驚きました。12歳くらいになった立派な息子、愛するイサクを羊ややぎと同じようにささげるというのです。アブラハムは苦しみました。待ちに待って生まれたイサクを失うということは、どんなにつらいことでしょう。
しかし、アブラハムは神様のおっしゃるとおり、次の日の朝早く起きて、ろばにくらを置き、2人の若者と、イサクとを連れ、また、燔祭のたきぎを持って、モリヤの地に出発しました。
アブラハムとイサクの心が一つになることによって神様を愛することを示した
モリヤの地に着くまで3日間かかりました。アブラハムは、神様のこと、イサクのことなど、いろいろ考えました。今まで神様がおっしゃったことを信じて行った時、たくさんの恵みがあったことをアブラハムは知っていました。しかし、今度は愛する息子を失って、たくさんの恵みを受けて何になるでしょう。今まで神様と共に生きてきたアブラハムでした。神様によって生まれたイサクでした。神様の言葉に聞き従わなかったなら、全く神様とは関係のないものになってしまいます。アブラハムの決意は変わりませんでした。神様の言葉に従いました。
アブラハムは2人の若者と別れ、たきぎをイサクに背負わせ、手に火と刃物を持って山に登りました。しばらくして、イサクはアブラハムに「お父さん、火とたきぎはありますが、燔祭の小羊はどこにありますか?」と聞きました。アブラハムは「イサクよ、神様が燔祭の小羊を備えてくださるであろう」と答えました。つまり、アブラハムは、イサクを燔祭として供えるということを、直前までイサクに話しませんでした。
2人は、神様が示された場所に来ました。アブラハムはイサクに向かって涙をこらえて真剣に話しました。「イサク、お前は神様の願いにこたえてくれるね。神様はお前を供えなさいと言われたのだ。お前は神様の供え物になってくれるね」と。この時イサクは、12歳くらいになっていました。お父さんの言うことをはっきりと理解できる年齢です。お父さんを本当に信頼していたイサクは、お父さんの言葉に「ハイ」と答えて従いました。アブラハムはイサクを縛(しば)り、たきぎの上に載(の)せました。普通の子供だったら、暴れたことでしょう。イサクはお父さんの目を見ました。その目は、小さい時から、自分を愛して見つめてきたやさしい目でした。神様を信じたお父さんの目でした。お父さんの後ろには、神様がいらっしゃるということが分かりました。
アブラハムが刃物(はもの)を執(と)って、まさに愛する1人息子イサクを殺そうとした時、「アブラハムよ、アブラハムよ」と神様の言葉がありました。「わらべを手にかけてはならない。また何も彼にしてはならない。あなたの子、あなたのひとり子をさえ、わたしのために惜しまないので、あなたが神を恐れる者であることをわたしは今知った」。それは、「本当に良くやってくれた。アブラハム、そしてイサクよ」という神様の言葉でした。アブラハムは、刃物を持った手を下ろし、イサクのひもを解きました。そして、角(つの)をやぶに掛けていた一頭の雄羊を捕らえ、それをイサクの代わりに燔祭としてささげました。
お父さんのアブラハムと息子のイサクが、だれよりも神様を愛する者であったことを知って、アブラハムやイサクに負けない信仰のあつい人になりましょう。
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次回は、「ヤコブとエサウ」をお届けします。