世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

トランプ政権、イランとの協議を開始

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、4月7日から13日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 トランプ大統領、関税を巡り「個別交渉」を指示(4月8日)。イスラエル、ガザの「広範囲」を掌握(9日)。イランへ軍事力行使、トランプ氏が言及(9日)。バンス米副大統領に異論の米軍司令官(グリーンランドにある基地)を解任(10日)。米国とイランが協議を開始、継続で合意(12日)、などです。

 イランの核開発を巡る米国とイランの高官協議が4月12日、オマーンの首都マスカットで行われました。
 約2時間半。形は「間接協議」で、別室に控えた両国代表団の主張を仲介国のオマーン外相が伝達する形で進められるというものでした。

 中東の平和を目指すトランプ政権にとって、対イラン政策は極めて重要な位置を占めています。
 イランは徹底した反米、反イスラエル政策を貫いています。「米国は悪魔である」との表現もよく用います。

 「抵抗の枢軸」という言葉があります。イスラム教シーア派のイランを後ろ盾とした、中東各地の反米、反イスラエルの抵抗勢力を指しています。

 2年前のガザの戦闘開始後、多数の組織がハマスとの連帯を掲げてイスラエルを攻撃しました。
 イラン、シリア、ヒズボラ、フーシ派(イエメンの反政府組織)などです。これが「抵抗の枢軸」なのです。中心はイランです。

 よって、中東を安定化するためにはイランを「抑える」必要があるというのがトランプ政権の考えなのです。

 ここに至る経緯を説明しておきます。
 トランプ1次政権は2018年、「イラン核合意」から一方的に離脱しました。主な理由はイランの核兵器開発を結果として許す合意だから、というものでした。

 イランの核計画が期限付きでしか制限されていないことや、弾道ミサイル開発を制止していない点を判断の根拠に、トランプ氏は批判していました。
 離脱後、イランへの経済制裁を実行したのです。

 「イラン核合意」についても説明しておきます。
 正式名称は「包括的共同作業計画(JCPOA)」で、核兵器開発が疑われたイランと、国連常任理事国(米英仏中露)にドイツを加えた6カ国が2015年に合意したものです。オバマ政権下でした。

 その内容は、イランが核開発の制限を受け入れ、欧米が経済制裁を解除するというものでしたが、実際は上記のごとくの欠陥が指摘されたのです。

 米国は合意から離脱し、経済制裁を課してきました。イラン経済は停滞し、近年では年平均30~40%台のインフレ率に苦しみ続けているのです。イランは制裁解除を切実に求めているのです。

 12日の間接協議は「建設的だった」と、両国政府は声明を出しています。そしてイランのアラグチ外相は協議を継続することで合意したことを明らかにしており、次回の協議は19日にもオマーンで再開されることになっています。

 トランプ氏は12日、記者団に対して「うまくいっていると思う。成し遂げるまでは意味がないのであまり話したくない」と語りました。

 トランプ氏の言う「成し遂げる」とは、核開発の完全な放棄を意味しています。当然イランは、原子力の平和利用の権利を主張することとなります。
 どのような合意ができるのか注目していきたいと思います。イランを「抑える」ことができれば、中東は安定します。



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