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ダーウィニズムを超えて 105

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第八章 宇宙の統一原理に向けて

(五)人間原理、万物理論、新しい統一原理

(2)ブランドン・カーターの強い人間原理
 人間原理という名前は、ケンブリッジ大学の天文物理学者ブランドン・カーター(Brandon Carter)が1974年に考案したもので、彼はこの原理の定式化を次のように提示した。「私たちが観察することを期待しうるものは、観察者としての私たちの存在を必要とするという条件によって制約が課されなければならない」。すなわち、宇宙はわれわれが存在できるようにできているというのである。

 ところが、この強い人間原理は宗教的な創造論に通じるので、唯物論的な物理学者たちには嫌悪するものとなっている。レオナルド・サスキンドは次のように言う。

 自然定数と自然法則には、偶然の一致とでも言うべきものがたくさんある。「そうでなければ、知的生命が存在できない」としか説明のしようがないような、偶然の一致である。物理法則は、少なくとも物理法則の一部は、私たちを存在させるために選ばれたと考える人々もいる。これは人間原理と呼ばれ、本書の序論で指摘したように、多くの物理学者に非常に嫌われている。人間原理には、超自然的な天地創造神話や宗教、いわゆる「知的設計論(インテリジェント・デザイン)」の気配が感じられると考える人々もいる(*59)。


*59 レオナルド・サスキンド、村田陽子訳『宇宙のランドスケープ』日経BP社、2006年、32

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 次回は、「弱い人間原理、マルチバース」をお届けします。


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